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"「お前のために断ってやった」母の仕送りを7年捨て続けた夫" 第1話

「今回は、無事にお渡しできてよかったです」

配達員のその言に、私はドアノブを握ったまま固まった。

「……え?」

曜の夜過ぎ。 夫は今から泊で阪へ張にている。 残業を終えて埼玉・戸田のマンションに帰り着き、スーパーの惣菜で簡単に済ませたあと、ようやく息ついたところだった。

渡されたのは、茶いガムテープが何にも貼られた段ボール箱。 伝票の依頼主の欄には、し震えた、見慣れた文字が並んでいる。

野県――母の跡だった。

「あの、すみません。今、なんとおっしゃいました?」 「あ、いえ……」

配達員の男性は、気まずそうに元のハンディ端末を見ろした。

「このご所、にも何度か同じご依頼主様からお荷物が届いてたんですけど……その、受取拒否というか、での返送が続いていた記録が残っていまして。今回はご宅で何よりです、といまして」

のが真っになる。

「……受取、拒否?」

聞き返した声が、かすかに震えていた。

「はい。差様への返送続きが取られていた履歴が、と昨に何件か。……あ、今回は普通にサインいただければ丈夫ですので!」

男性はこれ以ち入るのを避けるようにで言い、私にペンを差しした。 震えるで受領印のサインをく。 受け取った箱は、見た目以にずっしりとかった。

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ドアが閉まり、オートロックの子音が静かな玄関に響く。 (たたき)のに置かれた段ボールを見つめたまま、私はけなくなっていた。

胸の奥が、嫌な音をてて波打っている。

受取拒否。 差への返送。

……どういうこと?

母から荷物が届くなんて、ここほど度もなかった。 結婚して。 最初の数は、になれば菜、になれば林檎や米、には母作りの野沢菜漬けが、季節の変わり目ごとに送られてきていた。

けれど、いつの頃からか、ぱったりと届かなくなった。

『お母さんももうだしさ、い荷物を営業所まで運ぶのも変なんだよ。真帆からもう無理して送らなくていいって、やんわり言っておくよ』

そう言ったのは、夫の拓だった。 ほどののことだ。

その言葉に、私は「そうだね、ありがとう」と返したはずだ。 実は野のあいの町にある。最寄りの集荷所まではをさなければけない。 歳をとった両親に無理をさせたくないという夫の配慮を、私は疑いもせず、ただありがたい優しさだとい込んでいた。

それなのに。

受取拒否って、なに?

臓の鼓がの奥で激しく鳴り響く。 私は部着のポケットからスマートフォンを取りし、実のの番号を押した。

コール音が回鳴って、カチャリと受話器ががる音がした。

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『……はい、田ですが』

「お母さん? 私、真帆」

『……真帆?』

母の声は、瞬ののあと、ひどく驚いたようにずった。

『どうしたの、こんな夜遅くに。拓さんは? 何かあったの?』

「ううん、拓さんは張で阪。……それより、お母さん。今ね、野から荷物が届いたの」

受話器の向こうが、しんと静まり返った。

波のノイズだけが、サーッと元で擦れる。 母は何も言わない。ただ、息を呑むような気配だけが伝わってくる。

「お母さん? 聞こえてる?」

数秒の沈黙の、母が信じられないくらいさな声で、ぽつりと呟いた。

『……今回は、戻ってこなかったのね?』

喉の奥が、からからに乾いた。

「戻ってこないって……お母さん、荷物、ずっと送ってくれてたの?」

『…………』

「教えて。配達員のに言われたの。にも何度か届いてたのに、受取拒否で返送されてたって。……私、度もそんなの受け取ってないよ。留守も入ってなかったし、票だって見たことない」

になる私を遮るように、母が々しく言った。

『真帆、責めてるわけじゃないのよ。ただ……拓さんから聞いていたから』

「拓さんから?」

『あなたが、もう実のものを置く所に困ってるって。京のマンションは狭いし、田舎の漬物は匂いが残るから、真帆が嫌がってるって……。私、よかれとってやってたことが、あなたの迷惑になってるんだとって……』

目のが、すうっと暗くなった。

……は? 私が、嫌がってる?

「私、そんなこと言も言ってない!」

わず声を張りげていた。

「私、お母さんの野沢菜、ずっと待ってたよ! 毎楽しみにしてたのに、お母さんが腰を痛めたりして変だから送れなくなったんだって、拓さんからそう聞いてたのに!」

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