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"入籍三日目に渡された「毎月30万」の振込先" 第11話

畳のの央には、使い古された黒漆塗りの座卓。 その周りに、すでにが陣取っていた。

座に腕を組んで座る義父の正男。定退職、週の倉庫バイトにていると聞いていた男は、度も私と目をわせようとせず、元の湯呑みを見つめている。 その隣で、今にも噛み付かんばかりの形相で私を睨みつける義母の子。 座には、仏頂面でを投げしている夫の亮太。 そして、その隣で所なさげにスマートフォンをいじっている次男の輔。

「……座りなさい」

子がく、威圧な声で言った。 座布団は、私の分だけ用されていなかった。

畳のに直接正座する。 膝の骨に、畳のい触が容赦なくい込んできた。 けれど、背筋だけは絶対に曲げなかった。

「菜穂さん。今の族会議の、分かってるわね?」

子がを乗りし、机を指先でトントンと叩いた。

「入籍してたったで、夫を置いて荷物をまとめててくなんて、宮本の歴史で代未聞よ。親戚やご所にどれだけのみっともないいをさせたか、自覚はあるの? 亮太の顔にを塗って、ただで済むとってんじゃないでしょうね」

沈黙していた義父が、わざとらしく咳払いをつした。

「まあ……子、そう鳴るな。菜穂さんも若くて、嫁としての覚悟がまだりんだけだろ。

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亮太も悪気があって言ったわけじゃないんだから、ちゃんとをげて戻ってくれば、それで収めてやる」

まるで、寛な裁判官気取りだった。 私の言い分を聞く気など最初から毛ない。 「若気の至りで暴した嫁」をがかりで包囲し、謝罪の言葉を引きして、元の集システムへ組み直す。 その筋きが、全員の顔にありありと透けて見えていた。

「父さんも母さんも、こう言ってくれてるんだ」

亮太が、助け舟をされた子ども特のふてぶてしい声でをいた。

「おが俺の実を『寄虫』扱いした暴言は許せないけどさ。今ここで母さんと輔にちゃんと謝って、活費の件を承諾するなら、俺もこれ以は責めないでやるよ」

謝って、承諾するなら。 どのがそれを言うのか。

胃の奥が、氷を流し込まれたようにえ切っていく。 臓の鼓が速くなる。だが、それは恐怖ではない。 りの臨界点を超えたに訪れる、透き通るような静寂だった。

「私の話を聞いていただけますか」

私は膝のに置いていた黒のブリーフケースをけた。 ファスナーの滑る鋭い音が、静まり返ったに響く。

取りしたのは、会社のオフィスで印刷してきた部の覧表。 ホチキス留めされたA4の用を、のに滑らせた。

「……なんだよ、これ」

亮太が眉をひそめてをつまみげた。

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表の番には、太字でこう印字してある。 『宮本亮太・菜穂世帯 収支内訳および破綻試算表』

「論ではなく、現実の数字の話をしに来ました」

私は努めて平坦な声で、滑らかに事実を読みげた。

「現、亮太さんの取り収は約万円。私の取り収は約万円。わせた世帯収は万円です」

子が嫌そうにを鳴らしたが、私は遮る隙を与えずに続けた。

「川の居の賃と管理費で万円。費、費、通信費、用品等の最限の活維持費で万円。そして、亮太さんのハリアーの自ローンと任保険、駐代で毎万円。これだけで計万円が確実に消えます」

指先で、用の段を指し示す。

「残は万円です。そこに、お義母さんから求された『毎万円』の仕送りを組み込んだ、毎万円の赤字。で万円の純損失がます」

部の空気が、わずかに揺らいだ。 輔が気まずそうに線を泳がせる。

「つまり」

私はの顔を、ずつ見据えた。

「この活を続ければ、私の独代の貯百万円は、わずか数で底をつきます。私の料の全額と、これまでので貯めてきた資産のすべてを吸い尽くして、最に残るのは貯ゼロで破綻した庭だけです」

「お、おい……!」

亮太が焦ったように声を荒らげた。

「何言ってんだよ! 俺のボーナスだってあるだろ! それを崩せば――」

「あなたのボーナスはで取り約万。

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