"「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知" 第13話
それぞれの、それぞれの選択
がけ、厳しい寒波が本列島を覆った。
都科学のキャンパスは、に迫った定期試験と学院入試の準備で、張り詰めた空気に包まれていた。俺は研究でのシミュレーション実験の傍ら、のアメリカ派遣に向けた英語論文の執と、TOEFLのスコアメイキングに追われる々を送っていた。
ある曜の夕方、久しぶりに連絡をくれた直と、駅のさな定で顔をわせた。
湯気のつ姜焼き定をつつきながら、直はジョッキのをみ干し、申し訳なさそうに眉をげた。
「優馬、京都のときは本当に悪かったな……。希から泣きつかれて、ついおたちの泊まるホテルを教えちまった。迷惑かけただろ」
「いや、いいよ。気にしてない」
俺が淡々と答えると、直はし驚いたように俺の顔を見つめた。
「本当にお、変わったよな。昔なら『直は悪くないよ』って無理して笑って、全部自分で抱え込んでただろ」
「……そうだな。昔の俺は、誰に対してもいい顔をして、の領域に踏み込みすぎてたんだとう」
「希のやつ、あれから学でかなり孤してるらしいぞ」
直が箸を休め、ぽつりと言った。
「神のチームからされた、ゼミのの連からも距を置かれてさ。今までに頼り切って単位取ってたツケが回って、期の必修科目、つも落としたって噂だ。
広告
でも……最はを入れ替えたのか、図館の自習に朝から晩まで籠もって、で資格試験の勉をしてるのを見かけるよ」
「そうか」
俺はく頷き、噌汁をに運んだ。
その報告を聞いても、胸が痛むことも、ざまあみろと嘲笑う気持ちも湧いてこなかった。彼女が自分の蒔いた種を自分で刈り取り、自分の力でのからいがろうとしているなら、それは彼女自のの戦いだ。俺が関与する余はどこにもない。
「直、おの方はどうなんだ? 就活の準備、んでるのか?」
「おう! 俺は元鹿児島のインフラ系を狙おうとっててさ……」
の幸を肴にするのではなく、自分たちのこれからの未来について語りう。かつて彩佳の顔を伺い、模試の点数に怯えながら過ごしていたあの息苦しい々が、まるでい世の来事のようにじられた。
になり、学の掲示板に、次度の特待継続の審査結果が張りされた。
俺の学籍番号は、最位のランクA特待として、に記載されていた。の学費全額免除の継続が、正式に確定した瞬だった。
掲示板を見げる俺の隣には、誰もいなかった。
誰かのを引く必も、誰かの愚痴を聞く必もない。自らの性と志だけで勝ち取ったその番号を、俺はポケットにを入れたまま、誇らしく見つめていた。