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"「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知" 第3話

教の温度差と教授の問い

翌朝、の教は格をにした徒たちの歓声と、机を囲んでの談義で騒然としていた。卒業式をに控えた教の空気は浮きち、黒板の隅には誰かがいた『全員格!』のチョークの文字がく残っていた。

俺が自分の席に座って鞄から教科をしていると、学からの腐れ縁である森川直(もりかわ なおと)がすっと歩み寄ってきた。

「優馬、昨……丈夫だったか?」

直は、彩佳が掲示板ので俺に放った言葉を巻きに見ていた数ないだった。そして、俺が都科学から特待の候補として声をかけられていた事実をる、唯の友でもあった。

「ああ、丈夫だ。……都科の面談、受けることにしたよ」

直は驚いたように目を丸くし、それから底堵したように息を吐きした。

「マジか! やっと決めたか……! 俺はずっと、おは最初からそっちにくべきだとってたんだよ。あんなすごい枠、蹴るなんて正気の汰じゃなかった」

「昨までは、蹴って緒に浪するつもりだったんだけどな」

自嘲気に笑う俺の肩を、直はく叩いた。

「もういいんだよ。おは分にやった。これからは自分のためにを使え」

直がく詮索してこなかったことが、何よりもありがたかった。

昼休みになり、俺が机で母の作ってくれた弁当箱の蓋をけたときだった。

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教のろのドアがき、取り巻きの女子徒たちと笑いっていた彩佳が、直線にこちらへ歩いてきた。

「優馬、ちょっといい?」

周囲の徒たちの線が、斉に俺たちの机へと集まる。彩佳は腕を組み、わずかにを膨らませて俺を見ろしていた。

「昨のメッセージ、何だったの? 『予定がある』って、何の予定? 部探し、優馬についてきてもらわないと困るんだけど」

以の俺なら、相をらせないように言葉を選び、姿勢で理由を説していただろう。だが、今の俺には、なぜ自分が私活の予定をこの女に釈しなければならないのか、その理由がまったく分からなくなっていた。

「いた通りだよ。私用があるからけない」

「だから、その私用って何なのよ! 昨のこと、まだってるの? 『緒に浪する』って言ったのを本気にしてたから?」

彩佳は呆れたように肩をすくめ、周囲に聞こえるような声でため息をついた。

「ねえ、普通に考えてよ。受かった側がわざわざ蹴って浪するわけないでしょ? そんなの慰めの言葉に決まってるじゃん。優馬ならでも格できるとったから言ったのに、なんでそんな子供みたいに拗ねてるの?」

彼女は本気で、自分が正しいと信じ切っていた。彩佳の世界のでは、俺は常に彼女の求を笑顔で受け入れ、都よくをかす都のいいのまま固定されていたのだ。

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「部探しなら、親とけばいいだろ」

「お母さん仕事で忙しいの! 優馬の方がネットで調べるの得だし、具の配置とかも見てほしいのに……」

「俺には関係ない」

俺は淡々と告げ、箸をかして卵焼きをに運んだ。彩佳の眉がピクリとねがった。

「……信じられない。本当にたくなったね」

彩佳は苛ちを隠そうともせず踵を返し、女子グループの輪へと戻っていった。背から「何あいつ、落ちたからってつ当たり?」「器がさいよね」というヒソヒソ声が聞こえてきたが、俺のには波つたなかった。

その、俺は都科学の広なキャンパスにを踏み入れていた。

都の喧騒かられた緑豊かな研究拠点。総学のような派なサークル棟はないが、真しいガラス張りの先端報科学研究棟が青空に向かってそびえっていた。

案内された会議で待っていたのは、髪交じりの理な貌をした黒田教授だった。国内の分散コンピューティング分野の第者である。

「瀬優馬君ですね。座ってください」

黒田教授は俺の調査や評定平均の資料ではなく、冊の分いクリアファイルをいた。そこには、俺がに提した研究レポートの図表が挟み込まれていた。

「君が提したこの交通流モデル、アルゴリズムの収束速度に興い夫が見られる。

……だが、半のパラメータ調が途で止まっているね。なぜここで検証を打ち切ったんだね?」

鋭い質問に、俺は喉を詰まらせた。

打ち切った理由——それは、彩佳がにがる直、「数学の微分積分が壊滅だから毎教えてほしい」と泣きついてきて、俺が自分の研究に割くをすべて彼女の指導に回したからだった。

「……分な作業を、確保できませんでした」

俺がそう答えると、黒田教授は鏡の奥の瞳で俺をじっと見据えた。

「君はこの研究の続きを、本気でやりたいとはわなかったのかね?」

胸の奥が、激しくを帯びた。やりたくなかったはずがない。寝を忘れてコードをき、シミュレーション結果のグラフが綺麗に収束したときのあの震えるようなびを、俺はずっと誰かのために押し殺し、蓋をしてきたのだ。

「やりたいです。……誰かのためではなく、自分ので、この理論を最まで完成させたいです」

俺の言葉を聞いた黒田教授は、さく元を緩め、類にペンをらせた。

「よろしい。君を特別奨学として本学に迎え入れ、次からの選抜研究への所属を正式に推薦しよう。……これからは、自分の性のためにを使いなさい」

会議をたとき、見げた京の空はどこまでも青く澄み渡っていた。

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