"無職と笑う夫が盗んだ、私のデザイン" 第3話
島部の声から、切の温度が消え失せていた。
「この『季の卓』のロゴタイプ、そしてパッケージの展図。美穂さんが昨の、ご自のポートフォリオサイトおよびデザイン鑑の巻末に『未発表コンセプトワーク』として発表された作品と、寸分違わず同じなのは」
部のの誰もが、息を呑んだ。
「え……?」
夫の唇が刻みに震え始める。 額から、たらりと粒の汗が流れ落ちた。
「いや、あの、それはですね! あくまで社内でのブレインストーミングの段階で、参考資料として……モチーフをお借りしたというか、オマージュのようなものでして!」
「オマージュ?」
島部の徹な声が、夫の苦しい言い訳を切り裂いた。
「会議録の音声も残っていますよ。あなたは『このロゴの文字は、自分が何もかけてを執り、現代の卓にうようき起こした自信作だ』と言された。そうではありませんでしたか?」
「それは……その……」
夫は両を泳がせ、助けを求めるように義父を見た。 だが、元営業職で世体を何よりんじる義父は、息子の正を察したのか、真っ青な顔をして俯いている。
義母に至っては、何が起きているのか理解できず、ただオロオロと夫と私を見比べるばかりだった。
島部はタブレットを引き寄せると、静かに画面を消した。
「が社は、者の財産を剽窃するような企業とは取引できません。
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ましてや、内の専な仕事をで踏みにじり、自分の柄として偽るような担当者を、ビジネスパートナーとして信用することなど能です」
「島部! お待ちください、誤解なんです! これは妻も納得ので……!」
夫が必に縋り付こうとを伸ばすが、島部はそれをややかにかわしてちがった。
「お父、変失礼いたしました。本のところは、これでお暇させていただきます。佐藤さん、この件については週け、法務と御社の田部を交えて、正式に説していただきます」
島部は私に向き直ると、く、丁寧なお辞儀をした。
「美穂さん。このような無作法な形で作品を拝見することになり、苦しくいます。ですが、作品自体は本当に素らしい。いずれ、然るべき所で、きちんとお話しさせてください」
島部が個をった、苦しい沈黙だけが残された。
親戚たちの突き刺すような線の、夫はテーブルにをついたまま、肩で荒い息を繰り返していた。
還暦の宴席がどのように終わったのか、ほとんど記憶にない。
ただ、義父が吐き捨てるように「恥をかかせおって」と呟き、義母が私を睨みつけながら「あなたが余計な名刺なんてすからよ!」とヒステリックに叫んだことだけが、の奥にこびりついていた。
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浦から戸田の賃貸マンションへ戻る内は、んだような静けさだった。
夫はハンドルを握りしめ、度も私の方を見ようとしなかった。 赤信号で止まるたび、舌打ちの音が狭い内に響く。
マンションの駐に着いた瞬、夫はドアを乱暴に閉めてでエレベーターへ向かった。
部に入ると、夫は靴も脱ぎ散らかしたまま、廊の奥にある斎へと駆け込んだ。 から、荒々しく鍵をかける音が響く。
私は静かにパンプスを揃え、リビングのかりをつけた。
全の力が抜け落ちそうだった。 だが、胸の奥底で、え切ったマグマのようなりが静かに脈打っていた。
ただの参考資料? オマージュ?
ふざけないで。
あの『季の卓』は、私が会社員代から温め、独直にヶ、ほぼ眠を削って作りげた、私の名刺代わりの自主制作プロジェクトだった。
の質、特インクの指定、印刷コストを抑えながら級をすための箱の展図。 デザイン事務所の先輩である直子さんにも何度も見てもらい、ブラッシュアップをねたものだ。
Webで公したのは、あくまで解像度のイメージ画像と、モックアップの写真数枚だけだったはずだ。
「……待って」
私は息を呑んだ。
島部が見せたタブレットの画面。 そこに映っていたのは、Webに載せているような表面な画像ではなかった。
パッケージの展図。 糊しろの位置、折り目を示す罫線の指示、特のPANTONEコード。