"婚約破棄を告げた瞬間、義父母から謎の80万円を請求された" 第14話
「それは……そのは、助けうのが族だろ?」
「その、お義母さんがまた私に『母親がいないから病の際が悪い』って言ったら? あなたは私のにって、『母さん、度と結菜にそんなことを言うな』って突き放せる?」
健介の息が止まる。 線が泳ぎ始める。
「それは……母さんもってるなら、そんな酷いこと言わないとうし……」
「言うよ」
私はたく言い放った。
「はね、ったほど本性がるの。そしてあなたは、ったお母さんを見捨てられない。『結菜、母さんも病気なんだから、今回だけはして優しくしてやってくれ』って、絶対に私にをげさせる」
「結菜、どうしてそんな極端な……」
「極端じゃない。お姉さんから聞いたよ」
健介の体が、ビクッとねた。
「……え?」
「里さんのこと」
その名をした瞬、健介の顔から完全にが抜け落ちた。 幽霊でも見たかのように、顎がガクガクと震えている。
「耶さんに会ったの。里さんのも、まったく同じだったってね。お義母さんが仕事を辞めろと言い、あなたが『母さんにわせてくれ』と頼んで逃げした」
「あ、姉貴……何余計なこと言ってんだよ……!」
健介が取り乱し、声を荒らげる。
「過の話だろ!? 今は関係ないじゃないか! 俺は今、結菜と結婚したいって言ってるんだぞ!?」
「関係あるよ」
私はまっすぐ、健介の揺れる瞳を見つめた。
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「あなた、何も変わってないじゃない」
「変わったよ! さっき言っただろ、親に鳴ったって! 80万も帳消しにしたって!」
「それは、私が証拠を突きつけて逃げを塞いだからでしょ」
静かな私の声が、狭い玄関に響いた。
「あなたが戦ったのは、私をしているからじゃない。婚約破棄されて、親戚に恥をかいて、世体が悪くなるのが嫌だったからよ。私がいなくなったら、また母親の過干渉とひとりで向きわなきゃいけなくなるのが怖かったからでしょ」
健介の呼吸が荒くなる。 図を指されたの、歪んだ苦悶がその顔に張り付いていた。
「違う……俺は、結菜と緒にいたいから……」
「あなたはね、健介」
私は歩、にた。 健介との距が縮まる。でも、は宇宙の果てほどれていた。
「私のことが好きなんじゃないの。 自分の都のいいようにしてくれて、母親の嫌を取るためのクッションになってくれる『都のいい嫁』が欲しかっただけ」
「そんなこと……!」
「私が番許せないのは、おのことじゃない。 あなたの両親が私の父を侮辱した、あなたが横で黙っていたことよ」
喉の奥がくなった。 でも、涙はなかった。
「私の父はね、、度も私に恥ずかしいいをさせないように、まみれで、油まみれで働いてくれたの。自分のはボロボロになっても、私のだけはいつも綺麗なものを買ってくれた。
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そんな父を、あなたの親は『恥』と呼んだ。そしてあなたは、『悪気はないんだから聞き流せ』って言った」
健介が、力なく線を落とす。
「あなたが本当に私を切にっているなら、あのお茶ので、お父さんが作業着のことをにしたその瞬に、机を蹴っばしてでもるべきだったのよ。『俺の切なの父親を馬鹿にするな』って、どうして言えなかったの?」
健介の唇が震えている。 何も言い返せない。 それが、すべてだった。
「あなたには、をする資格がないんじゃない。 ただ、親から精神に独する覚悟がないだけよ。 そんなと、私は族になれない」
私は自分の部の靴箱のから、さなベルベットの箱を取った。 にプロポーズされたにもらった、婚約指輪。
箱をけ、からプラチナのリングをつまみす。
健介のを取り、その震えるのひらのに、指輪をコトリと乗せた。 属のたい触が、瞬だけふたりの皮膚を繋ぎ、そしてれた。
「……結菜」
健介の目から、粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。 けないほど無力な、ただの子どもの涙だった。
「全部、終わり。もう度とここに来ないで」
「待ってくれよ……結菜……頼むよ……!」
ドアを押し閉める。 健介のが隙から伸びてきそうになったが、私は迷わず体をかけてドアを完全に密閉した。
ガチャリ、と鍵をかける。
続いて、チェーンを掛けた。
から、ドンドンとドアを叩く音と、健介の泣き叫ぶ声が聞こえた。