"婚約破棄を告げた瞬間、義父母から謎の80万円を請求された" 第11話
彩の言っていた通りだった。
支度をえ、勤のためにコートを着ようとした、今度は別の通が画面をらせた。
今度は、健介の姉の耶さんからだった。
『結菜ちゃん、おはよう。突然ごめんね。 昨の夜から、実がとんでもないことになってて……母さんから泣きながら話が来たの。 健介からも話を聞いたんだけど、領を得なくて。 今、仕事終わりにしだけ会えないかな? 宮の駅で待てるから』
耶さん。 歳、すでに結婚してさいたま内に別の庭を持っている。 以、健介を交えて事をしたは、控えめで物静かな印象だった。
方になってくれる期待はしていなかった。 所詮は向こうの族だ。弟のために私を宥め、丸く収めようとするのが関のだろう。 それでも、私は会うことを選んだ。
逃げ回って裏で悪者にされるくらいなら、松本の全員に、黒はっきりした事実を突きつけてやるつもりだった。
午、宮駅のルミネのにある、し落ち着いた照の喫茶。
奥の席に座っていた耶さんは、目のに置かれた茶にもつけず、疲れた顔で元のスマートフォンを眺めていた。 私がづくと、ハッとしたように顔をげ、さくをげた。
「結菜ちゃん、急に呼びしてごめんなさい。仕事帰り、疲れてるでしょう」
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「いえ、丈夫です」
向かいの席に座る。 コートを脱ぐ私の元を、耶さんはじっと見つめていた。 の薬指に、指輪がないことを確認したのだとう。
「……母さんから、聞いたの」
耶さんは声を潜めて切りした。
「結菜ちゃんが突然、入籍をやめるって言いして、をびしていったって。父さんも激してて、弁護士を入れるだの親戚に恥をかかされただの、騒ぎで……」
「びした理由は、お義母さんから聞かれましたか?」
私のたい声に、耶さんはし怯んだように線を落とした。
「……『ちょっとした結婚活のアドバイスをしたら、急に逆された』って言ってた。でも、私には信じられなくて。結菜ちゃん、そんなに鳴り散らすような子じゃないってってたから」
私は黙って、バッグからクリアファイルを取りした。 には、昨夜から印刷してまとめておいた類が入っている。
義母がいた『結婚活における約束事項』のメモ。 きの80万円の請求。 先私が健介に振り込んだ21万円の座細。 そして、彩と緒に作った正当な費用の対比表。
それをテーブルのに滑らせた。
「これを見ていただけますか」
耶さんは怪訝そうに眉を寄せ、枚ずつ類をめくり始めた。
最初は困惑の表だった。 だが、油性ペンでかれた『訓』を読んだ瞬、耶さんの顔から血の気が引いていくのが分かった。
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目が見かれ、唇が刻みに震え始める。
「……これ、母さんがいたの?」
「はい。昨の夜、入籍の夜に突きつけられました。私の与をすべてお義母さんに預けること。実の父には、松本の内を切話さないこと」
耶さんは息を呑んだ。
「それから、私の父の仕事のことです。父は川のさな鉄所で旋盤をしています。お義父さんから『親戚付きいのに作業着で来るな、恥ずかしい』と言われました。お義母さんからは『母親がいない庭で育ったから、しつけがなってない』と」
「……っ」
耶さんはを抱えるようにして、両で顔を覆った。 指の隙から、く、い溜め息が漏れる。
「あぁ……また、やったんだ……」
「また?」
聞き捨てならない言葉に、私はを乗りした。
耶さんは顔をげた。 その瞳には、私へのりや非難など微もなかった。 あったのは、い諦めと、吐き気を催すような過への嫌悪だった。
「ごめんね、結菜ちゃん。本当に、ごめんなさい……」
耶さんの声はかすれていた。
「私ね、に今の夫と結婚したの。そのと、まったく同じ」
「え……?」
「うちの母さんね、悪気がないのよ。そこが番タチが悪いの。『子どものため』『族の将来のため』って本気で信じ込んでるのよ。私が結婚するも、夫の通帳を全部実に預けろって言ってきたわ。『若いふたりに任せたら無駄遣いするから、私が堅く運用してあげる』って」