"婚約破棄を告げた瞬間、義父母から謎の80万円を請求された" 第7話
だから父さんは、絶対に自分を責めないで」
玄関へ向かう私の背に、父の声が届いた。
「結菜」
振り返ると、父はしだけ背筋を伸ばしてっていた。
「無理はするなよ。……困ったら、いつでも帰ってきていいんだからな」
その言葉だけで、胸の奥のたい塊が、しだけ溶けていくような気がした。
「うん。ってきます」
ドアを閉めた。 朝のたいが、涙で濡れた頬を刺すように撫でていった。
午、赤羽駅くの喫茶。
向かいの席に座る林彩は、アイスコーヒーのストローを噛みながら、私のスマートフォンに表示された画像をい入るように見つめていた。
「……うわ、た。『両親稼働費:10万円』って何? 親戚への挨拶回りの賃を嫁に請求する義父母とか、都伝説じゃなくて実するんだ」
彩は私と同じ活用品メーカーの営業事務で、に結婚した頼れる先輩であり友だった。 彼女自、夫の実との距にはかなりシビアに向きってきた現実派だ。
「結菜、これ完全にアウトだよ。民法の借でもなんでもない。ただの言いがかり」
彩は私物のiPadを取りし、際よくスプレッドシートをいた。
「いい? こういうのは論でやりったら負け。相は『親の恩』とか『世体』っていう曖昧な刃物で刺してくるんだから、こっちは完全に数字と契約で防壁を作るの」
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画面に、際よく項目が打ち込まれていく。
『居関連費用』 『結婚式内』 『具・配状況』
「まず居だけど、戸田公園の物件、名義はどっちになってる?」
「……健介」
「契約者は健介ね。で、初期費用の総額が42万円。結菜が21万円を振り込んだ証拠は、さっき見せてもらったアプリの履歴で完璧に残ってる。で、健介が自分の座から42万円を管理会社に支払った、と」
彩はペンシルをくるりと回した。
「じゃあ、この義母がノートにいてる『居初期費用(松本援助分):21万円』は、結菜が健介に渡したそのものじゃん。健介が母親の座に横流しして、母親がそれを『うちがしてやった』とカウントしてるだけ。完全な資の付け替えよ」
「やっぱり、そうだよね……」
「そうに決まってるでしょ。それから、この『羽毛布団式:12万円』。これ、結菜は頼んだの?」
「頼んでない。ある突然、義母から『婚礼用のいい布団を押さえておいたから』ってLINEが来て……私、ニトリで分ですって断ったのに、『松本の男に物は使わせられない』って押し切られたの」
「注文主も支払い者も義母。結菜の同なし。はい、却」
彩は容赦なくセルを赤く塗りつぶしていく。
「『式内祝い親戚産代:16万円』。これも結菜はノータッチ?」
「全然らない。どこの親戚に何を配ったのかすら聞いてない」
「却。全部義実の自己満。
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結菜が法に支払う義務があるのは、ふたりでして申し込んだものの『解約違約』の折半分だけよ」
彩が弾きした数字を見て、目ののがしれていくのをじた。
実際に発する能性があるのは、 居の賃貸借契約の解除に伴う期違約や割り賃。 そして、宮の結婚式にすでに支払っている内15万円の処理。
「式の内15万は、結菜の座から振り込んだんだよね?」
「うん。私の貯から払った」
「なら話はい。規約を確認して、もし内が全額没収になるなら、その半分の7万5千円は健介に請求できる権利がこっちにあるのよ。向こうが80万請求するどころか、こっちが健介に請求する案件」
「……そうだよね」
「そうよ。だから堂々としてなさい。相が弁護士をチラつかせてるらしいけど、こんなきのノートで裁判所にったら、調委員に失笑されて終わりだから」
彩の淡々とした、しかし論理な言葉に、張っていた肩の力がようやく抜けた。 戦い方は分かった。 あとは、この現実をどうやってあの親子に突きつけるかだ。
そのだった。
私のスマートフォンが震えた。 健介からだった。
『今、おの会社の最寄り駅にいる。なのはってるけど、川の部にもいないだろ。頼むから会ってくれ。指輪も持ってきた』
画面を見た瞬、背筋にたいものがった。
「……彩、健介が私の会社の駅で待ってるみたい」
彩は顔をげ、鋭い目で私の画面を覗き込んだ。