"貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算" 第19話
それぞれの請求
翌朝、健は会社へ来た。正社と事担当、顧問を交えた面談で、継者選考の経緯と今の業務について説を受けたという。俺はそのには同席しなかった。健の処遇を決めるのは、俺の役割ではないからだ。
から聞いたところでは、健は当初、父親に激しく反発したらしい。だが正式な議事録と通を示され、代表就任の約束などしないと認めざるを得なかった。経費精算の問題については、本が説できる範囲と追加確認が必な範囲を分け、会社の規定に従って対応がめられた。最終に健は、管理職へ戻るを選ばず退職を申した。
美のことは、しばらくらなかった。ある、共通のから連絡があり、彼女と健の結婚話がになったと聞いた。俺は詳しい事を尋ねなかったが、は「ともっていたより借がかったみたい」とだけ言った。将来の収入を当てにして、先に暮らしをきくしてしまったのだろう。
、美からいメールが届いた。『あのはひどいことを言ってごめんなさい。指輪のことも、全部私が悪かった』。返信するか迷った末、俺は『謝罪は受け取りました。これからはお互い別のを歩きましょう』とだけ返した。をなかったことにはできないが、もう続ける必もない。
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によれば、美は指輪を売って借を返そうとしたが、購入に聞かされていたほどの価値はなかったという。の話では、宝飾で確認したところはダイヤモンドではなかったらしい。ただ、俺自が鑑別を見たわけではない。健が見栄のために価な品だと言っていたのか、美が勝にい込んでいたのかも分からなかった。確かなのは、ともまだにしていない未来の肩きを、現のように使ってしまったことだった。
俺はその話を聞いても、を笑う気にはならなかった。自分も以、結婚すればすべてうまくいくと考え、相の言葉を聞き逃していた。違うのは、今は無理な約束をしないと決めていることだ。会社でも私活でも、できないことはできないと伝える。それが相を軽んじないための礼儀だとうようになった。
仕事のほうは、順調なことばかりではなかった。資材価格ががり、事の採算が厳しくなる期もあった。俺はレオンや守に相談し、現と営業の担当者を集めて対策を考えた。受注を断るも、社員に理由を説することを欠かさなかった。
ある、若い社員から「社になるって、もっと怖いとってました」と言われた。俺は笑って「俺だって怖いよ」と答えた。違った判断をすれば、誰かの活に響する。
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その怖さを忘れたら、きっと切なものを見落とすだろう。
この頃、会社ではしい資格取得支援制度が始まっていた。若い職が勉のを確保できるよう、現の予定を調する試みだ。初めはがりず苦労したが、先輩社員が交代で教える仕組みを作ると、しずつ利用者が増えた。将来の数字を変えるのは、目ののさなの使い方なのだとじた。
週末の公園では、こどもが回目を迎えていた。最初にの根を買った子どもが、今度は自分で値札を作っている。レオンは相変わらずげさに社役を演じ、守は売表を持ってり回っていた。すももはの子で寝ているだけなのに、誰よりも偉そうだった。
「涼くん、来は本物の社だね」と守が言った。
「そうなれるように、まだ勉です」
レオンは俺に、つに割れるアイスを差しした。「じゃあ今の報酬。半分こしよう」
俺は受け取って笑った。、美に振られた帰りにこのたちと会わなければ、今の俺はここにいない。ただし、が俺のを魔法のように変えてくれたわけではない。毎仕事を教えてくれた現のたちと、違いを認めてやり直したが、しずつを作ってくれたのだ。