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"貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算" 第15話

居酒のダイヤモンド

曜の夜、居酒は会社帰りの客で賑わっていた。俺は入にい掛けの席で、えたビールをんだ。守からは『会議が引いた。兄ちゃんと緒にく』と連絡が入っている。久しぶりに気楽な話ができるとい、仕事用のスマートフォンを鞄にしまった。

待ちわせまでがあったので、俺は帳をいていた。翌週は事現の全点検と、との資繰りの面談が入っている。しい肩きに慣れる暇もなく、予定はしずつ増えていた。レオンたちとむ夜くらい仕事を忘れようとい、帳を閉じて鞄に戻した。

内には会社帰りの若い客も、の付きいらしい配の客もいた。隣の席では、退職を迎える同僚への贈り物を相談している。にはそれぞれの仕事と暮らしがあり、の料だけで価値を測ることなどできない。そんなことをぼんやり考えていた、聞き覚えのある声がした。

「……涼?」

聞き覚えのある声に顔をげると、美がっていた。髪型も装も以より華やかになり、にはきなのついた指輪がっている。、俺の婚約指輪をに落としただ。いがけない再会に驚いたが、議なほどは静かだった。

「久しぶり。元気そうだね」と言うと、美は瞬だけ目を細めた。

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「相変わらずね。ここででんでるの?」

返事をするに、彼女のろから男が現れた。そうな計をつけ、肩をきく揺らして歩く男だった。美はその腕にを絡め、「紹介するわ。婚約者の健さん」と誇らしげに言った。男の顔を見た瞬、俺はグラスを置いた。

島健。島建設の営業統括だった男だ。最は社内で顔をわせることもなく、彼が美の交際相だとは度も聞いていなかった。健も俺に気づいたらしく、元を歪めた。「なんだ、会社に来たあの男じゃないか。おが美の元彼だったのか」

健がこちらへづいた、彼のスマートフォンの画面が瞬見えた。会社からの連絡が何件も未読のまま並んでいる。俺は仕事の話を持ちす気になれず、画面から目を逸らした。今夜の俺は会社の代表候補としてではなく、友を待つの客としてここにいる。その線引きだけは守りたかった。

「りいなの?」と美が尋ねる。

「仕事でしね」と俺は答えた。会社の事を居酒で話すつもりはなかった。だが美は、俺の控えめな返事を別のに受け取ったらしい。勝ち誇ったように指輪を見せつけた。

「健さんはきな建設会社の次期社なの。結婚したら、私も社夫になるんだって。来には式の最終打ちわせもあるのよ。

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あなたと結婚してたら、こんな指輪は買ってもらえなかったでしょうね」

健は笑い、俺の肩を軽く叩いた。「うちの会社の名くらいってるだろ。島建設だよ。父親が社で、次は俺が継ぐことになってる。まあ、おみたいな会社員とはまれたから違うんだ」

俺はの顔を見た。美がに言った『本命』が誰だったのか、ようやく分かった。だがそれ以に気になったのは、健がまだ自分を次期社だと信じていることだった。社内には正式な承継計画が通されている。彼が本当にらないのか、それともっていて嘘をついているのか、判断できなかった。

「その話、会社から正式に聞いていますか」と俺は尋ねた。

健は眉をひそめた。「父親の会社なんだから、聞くまでもないだろ。お、何が言いたいんだ」

美が笑った。「悔しいからって変なこと言わないでよ。今の涼に、健さんの将来が分かるわけないじゃない」

俺はそれ以答えなかった。ちょうどその、の入でるい声が響いた。「涼くん、待たせた! 今はすももが留守番を拒否して変だったんだ」。振り向くと、レオンと守がこちらへ歩いてくる。健の顔が、目に見えて変わった。

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