"貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算" 第5話
消えた社員番号
退職した社員の番号で承認された発注が、かで件あった。額は計で約千百万円にる。ただし、そのすべてが正な支払いだとは限らない。実際に資材が届いているものもあり、俺はまず納品実績の無で案件をつに分けた。
守と緒に現を訪ねると、倉庫の責任者が古いの受領簿を見せてくれた。子データでは配送済みになっている資材のうち、いくつかは受領簿に記録がない。反対に、受領簿にあるのにシステムへ入力されていない品目も見つかった。現のがずさんなのではなく、つの管理方法が別々にいていたのだ。
「今まで何度も言ったんです。でも『で処理するから触るな』って」と倉庫責任者は声を落とした。「りない資材を現で買い直したこともあります。俺たちがられるのが嫌で、黙っていたのは事実です」
俺は責めなかった。ミスを隠すがる仕組みを放置してきた側にも、責任がある。誰がいつ何を確認したのか、現で再現できる記録を作り、本に内容を確かめてもらった。の受領簿を写真に撮るだけでは証拠として分なので、原本の保管所も記した。
倉庫を歩いていると、納品されないまま事を迎えた現の写真が貼られていた。担当者が自分への戒めとして残したものだという。
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写真のでは、だけが組まれ、職たちがを止めている。発注の数字がつわないだけで、そこにいるのが失われるのだ。
俺は瀬という名を、退職者の覧のに見つけた。まだ籍のはずなのに、彼の担当案件が別の社員へ移され始めている。事異の準備かもしれないし、本が異を希望したのかもしれない。疑いを確信に変えたくなる気持ちを抑え、まずは当の話を聞ける続きをえるよう守に頼んだ。
調査の途、正社から本の話が入った。「島さん、今夜、息子を交えて話をしたい。あなたの報告を読ませたら、ずいぶんってね」
俺は面談のに、資料を部用していた。部は致の覧、もう部は確認できた配送実績だけを抜きしたものだ。疑わしい点を突きつけるだけでは、相は防御に回る。実際に届いた資材から話を始めれば、なくとも同じ事実を見ながら議論できるとった。
会議に現れた健は、仕ての良いジャケットを着た男だった。名刺を渡すと、俺の名字を見て「同じ島でも、ずいぶん違うものだな」と笑った。彼は資料を数枚めくり、「現のこともらない部のに、うちのやり方を変えられてたまるか」と言い切った。俺はを抑え、具体な確認事項だけを伝えた。
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「この社員番号を使って発注を承認した方をごじですか。退職にも使用されています」
「事務員が古い設定を残したんだろう。そんなことまで俺の責任にするのか」
「責任を決めるに、事実を確認したいんです。使用した端末と刻の記録を見せてください」
健は子を鳴らしてちがり、父親を見た。「こんな男を会社に入れるなら、俺はらないからな」。正社は何も言わなかった。親子のにあるい沈黙が、資料の致よりも厄介にえた。
面談の、守が調査対象の端末記録を追加で取り寄せた。退職者の番号が使われたのうち、は健が会社に勤していない。ところが、そのうちのは、本の交通費精算に『現巡回』とかれていた。承認記録と経費記録は、同じに別々の所で彼が仕事をしていたことになっている。
「これは単なる入力ミスじゃ済まないかもしれないね」と守が言った。俺はすぐには頷けなかった。もし経費が私用だったなら、正社は息子の問題と会社の問題を同に引き受けなければならない。それでも見なかったことにはできない。
翌朝、正社からいメールが届いた。『調査を続けてほしい。息子のためではなく、会社のために』。そのには、社内監査担当からのしい報告が添付されていた。
退職者の社員番号を使っていた端末の持ち主は、健の直属の部だった。そしてその部は夜、突然退職願を提していた。