"車椅子の看板娘と一億円の代償" 第9話
々王会の幹部がそのを把握していなくても、何ら議ではありません」
疾は写真に線を落とした。そこには、痩せぎすで、異様にい髪のから底れないを覗かせている、代半とおぼしき若い男の姿が写っていた。
「ですが、俺はうのです。獅原淘汰という男は、能力がないから若衆なのではなく……黒龍会が、あえて奴を若衆という無役の位に留め置いているのだと」
「どういうことだ?」
俺がを乗りすと、疾の背筋が微かに張った。あの静沈着な疾が、微かに忌々しげなを瞳に宿らせている。
「奴……獅原淘汰と遭遇した際、奴は暗い空でニヤニヤとした気な笑みを浮かべながら、そのに血染めの刃物を持っていたのです」
「刃物だと? どこでだ」
「黒龍会の本拠のくにある、奴らが資材置きとして使っている廃墟同然の物置です。その刃物を使って、奴は実に楽しそうに、交じりでひとりで『何か』を解体していました」
疾はそこで言葉を切り、喉を鳴らした。
「あの異様な狂気……ただのチンピラや若衆のそれとは到底えませんでした。若い者がの危険をじながら、巻きに恐る恐る声を掛けたそうですが、奴はこちらを値踏みするようにギョロリと見つめるだけで、何ひとつ答えなかったとのことです。
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……その解体していたものが、物だったのか、それとも……だったのかまでは、確認が取れておりません」
「…………」
疾の報告を聞き、背筋にたいものがった。
「なるほどな……。つまり、その獅原という男は、黒龍会……いや、神宮蓮が飼い殺している『秘密兵器』というわけか。汚れ仕事をに引き受けさせるための、狂の鉄砲玉だな」
「ええ、その能性が極めていと考えられます」
俺は座卓のに広げられた資料と、獅原の写真をじっくりと眺め回した。
無抵抗の女子のを切りつけ、ともに破壊しておきながら、平然とをのさばっている男。そして、それを私利私欲のために解き放った神宮蓮。りで界が赤く染まりそうになるのを、俺は靭な志で押し留めた。
「よし……。机のであれこれ考え込んでいても仕方がない」
俺は資料からゆっくりと顔をげ、疾を鋭く見据えた。
「とりあえず、その獅原淘汰を捕まえて、真相を吐きさせるぞ。いいか、疾。必ずきて捕らえろ。そして、奴のから『蒼井ちゃんを傷つけた』という確な自供を必ず引きすんだ。その言葉を吐かせるまでは、違ってもぶっ殺すなよ」
「はい。承いたしました」
疾はく礼し、静かにちがった。その双眸にも、主命を果たすための徹な覚悟が宿っていた。
それから数の、肌寒い夜のことだった。
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がい眠りに沈み、くをるトラックの排気音だけが微かに響く、俺は疾と、選抜した数名の屈な部たちを引き連れて、れの業帯へとを踏み入れていた。
周囲には産廃処理や錆びついたトタン根の倉庫が乱し、灯のすら届かない完全なが広がっている。
「若、あそこです」
に溶け込むように潜んでいた部のが、方を指差した。
そこには、敷の片隅に打ち捨てられた、型の物置がぽつんと佇んでいた。トタン板の隙から、頼りない裸球の黄いが漏れしている。
「あので刃物を研いでいる気な男が、獅原淘汰か?」
俺がを潜めながら囁くと、隣に控えていた疾が目を細めて頷いた。
「ええ、あいつで違いありません」
トタンの隙からを覗き込むと、饐えた鉄の匂いと油の臭いが漂ってきた。
暗いの央、箱のに腰掛けた男が、乱にをかしていた。写真で見た通りの痩せこけた体躯、ボサボサの髪。そして何より異様なのは、その男が、誰に見せるでもなく元をニタニタと歪め、恍惚とした表を浮かべていることだった。
ジャキッ、ジャキッ、ジャキッ――。
属と砥が擦れう、障りで鋭利な音が、夜のに規則正しく響き渡っている。
「……こんな真っ暗な物置ので、ただで刃物を研いでいるなんてな。
しかも、あのニタニタした気の悪い笑い方は何だ。