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"「私はいつ休めるの?」に夫は「家にいるだろ」と返した" 第17話

危険の予測と対策が、分単位で必になる。

ある曜の夕方、夫が「ドラッグストアにってくる」と自らちがった。

には、自分でスマートフォンに打ち込んだチェックリスト。 オムツのサイズ、乳の裏ごし野菜のパウチ、ベビー用の麦茶のストック。

「ってくるわ」

夫が玄関でスニーカーを履く。 その背を見送りながら、私は何も言わなかった。 「あれも買ってきて」「これ忘れないで」と声をかけることは、もう度としないと決めていたからだ。

、夫はそうなレジ袋をつ提げて帰ってきた。

息を切らし、袋から商品を取りしてカウンターに並べていく。 オムツ、よし。 麦茶、よし。 けれど、乳のパウチを見た瞬、夫のがピタリと止まった。

「……あ」

さな声が漏れた。

買ってきたのは、対象齢「ヶ頃から」ときくかれた、固形物の混ざった肉じゃがのパウチだった。 今の悠斗がべれば、喉に詰まらせる危険があるさだ。

夫の顔が、見る見るうちに青ざめていった。 私の方を恐る恐る振り返る。その瞳には、かつてのような「おがちゃんと説しないからだ」という逆ギレのはなかった。 あるのは、確な自分のミスに対する焦りと、恐怖だった。

「……違えた」

夫が掠れた声で言った。

「齢、ちゃんと見ないで、パッケージの写真だけで取っちゃった……」

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私はキッチンのコンロで湯を沸かしながら、静かに夫を見つめた。

鳴りつけることも、ため息を吐くこともしない。 ただ、フラットな事実だけをにした。

「悠斗はまだそれ、べられないね。今夜の乳、どうする?」

責めるのではなく、解決策の所を夫のに戻す。

夫は唇をく噛み締め、レジ袋ののレシートを握りしめた。 はすでにが暮れ、真のたい夜が吹き荒れている。 玄関をて、往復分ののりをもう度歩くのがどれほど億劫か、痛いほど分かっているはずだった。

夫は何も言わず、脱ぎかけたダウンジャケットのファスナーを再びまで引きげた。

「……交換してくる」

「レシート、持ってきなね」

「おう」

ドアがき、たい気が瞬だけリビングに吹き込んできた。 にていく夫の音が、階段の向こうへざかっていく。

私は、キッチンの作業台にをつき、く息を吐きした。

以なら、私が「もういい、今夜はお粥だけで済ませるから」と引き取っていただろう。 そしてので、夫に対する無能さへの軽蔑をまたひとつ積みねていたはずだ。

けれど、夫は自分で靴を履き直した。 違えた恥ずかしさと面倒くささを引き受けて、自分ので夜の寒空へ戻っていった。

さな、本当にさな変化だった。 けれどそれは、誰かの指示でくロボットから、の責任ある親へと脱皮するための、避けては通れない痛みなのだ。

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義母からの連絡は、あののを境にぱたりと途絶えていた。

度だけ、正けに夫の携帯に着信があったらしい。 夫がベランダにて、い声で話しているのが窓ガラス越しに見えた。

から夫に聞いたところによれば、義母は「直、あんなにいて息が詰まらないの? たまには実にご飯でもべに帰ってきなさい」と、いつもの甘やかしの罠を仕掛けてきたのだという。

それに対して、夫はこう答えたそうだ。

「母さん、俺は悠斗の父親なんだから、にいるのが当たりだろ。もう余計なしはしないでくれ」

義母は絶句し、それきり話を切ったという。

息子の自を阻み、無識のうちに支配に置き続けていた母親のが、完全に振りほどかれた瞬だった。 義母を責める気にはなれなかった。あのもまた、昭という代の父制の犠牲者であり、夫を「お殿様」として甘やかすことでしか、自分の庭内での価値を見せなかったしいなのだから。

けれど、その呪縛を私たちの代で断ち切らなければ、悠斗が同じ過ちを繰り返すことになる。

夫が自らので母親との境界線を引いた夜、私たちは初めて、本当のでの「夫婦」のスタートラインにてたのかもしれない。

季節が巡り、。 ヶを迎えた悠斗は、つかまりちを覚え、界に入る世界すべてに好奇の声をげていた。

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