"「私はいつ休めるの?」に夫は「家にいるだろ」と返した" 第13話
義母の線が、スッと私に向けられた。 その瞳には、息子を当に虐げる嫁に対する、ややかな非難のが宿っていた。
「美さん。ちょっといいかしら」
義母はダイニングチェアを引き、威圧するように腰をろした。
「直からし話を聞いたのよ。あなた、最ずいぶん直に対して当たりがいんですって? 洗面所の滴だの、靴の脱ぎ方だの……男のにそんな細かいこといちいち指図して、息を詰まらせてどうするの?」
私は作業のを止め、を消した。 エプロンでを拭き、義母の正面の席に座る。
鳴り散らす気はなかった。 になれば、「産の緒定」という便利なラベルを貼られて片付けられるだけだ。
「お義母さん。当たりがいのではありません。活のルールを共しようとしているだけです」
「ルールだなんて袈裟な」
義母は先でさく笑った。
「男のはね、で稼いでくるのが最の仕事なのよ。直の会社だって今、景気が良くないんでしょう? 毎をげて、族を養うために必に働いてるの。のくらい、細かいことは目をつぶって、温かく迎えてあげるのが妻の務めじゃないの。昔からそうやって、どこの庭も回ってきたのよ」
「昔と今は違います」
私の声は、自分でも驚くほど平坦だった。
「私も来のから復職します。
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フルタイムで働きます。賃も活費も、これまで通り完全に折半です。直だけが族を養っているわけではありません」
義母は瞬、言葉を詰まらせた。 けれど、すぐに世体を盾にして眉を吊りげた。
「復職復職って……子供がまだ歳にもならないうちから保育園に預けて働くなんて、だとわないの? 直のお料だけでやりくりすればいいじゃない。母親がにいてあげることが、子供にとって番の幸せでしょうに」
「母親のを犠牲にして成りつ幸せなんて、私は信じません」
たく言い放つと、義母の顔が朱に染まった。 元でハンドバッグの具をカチカチと鳴らす。
「あなたっては……! 直がだとはわないの? 会社で疲れて帰ってきて、でも召使いみたいにこき使われて。直はね、昔から先も器用だし、事なんて教えたこともないのよ。できない子に無理を押し付けるのは、ただのいじめじゃない!」
息子の無能さを、まるで免罪符のように誇らしげに語る義母。 その歪んだのさに、めまいがしそうだった。
ソファを見ると、夫は母親の背に隠れるようにして、スマートフォンをいじっていた。 母親が自分を弁護してくれるのを、当然の権利として享受している。歳にもなったの男が。
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私はく息を吸い込んだ。
「お義母さん。直が『できない』のは、器用だからじゃありません」
ちがり、棚から冊のファイルを取りした。 ドサリ、とい音をててテーブルの央に置く。
表には『悠斗 成・健康管理記録』と印字されている。
「直」
夫に鋭く線を向けた。 夫はびくりと肩をねさせ、気まずそうに顔をげた。
「……何だよ」
「お義母さんので、いくつか質問に答えて」
「は? なんでそんな……」
「答えて」
声のトーンを段げた。 逃げを塞ぐような私の気迫に押され、夫はごくりと唾をみ込んだ。
「……何だよ。言ってみろよ」
「悠斗の、次回の予防接種はいつ? 何のワクチンを打つ?」
夫の目が泳いだ。 唇が半きのまま、固まる。
「え……? ワクチン……? いや、それは……おが予約してんだろ……?」
「母子帳はリビングの引きしの番に入ってる。カレンダーにも赤ペンでいてある。見てないの?」
夫は何も言えず、線を落とした。
「じゃあ第問。今週、乳でしく試した材は何? アレルギー反応がやすいから午にべさせたはずだけど」
「…………」
沈黙が部を満たす。 夫の額から、じわりと脂汗が滲みていた。
「第問。悠斗が夜に急に度のをした、さまシートと乳幼児用の解薬はどこに入ってる? 救急相談の話番号は何番?」
夫の呼吸が浅くなる。
両を膝ので固く握りしめ、まるで尋問を受ける容疑者のように俯いた。
「……らねえよ」
消え入りそうな声だった。
「そんなの……おが全部やってるから……俺が覚える必ないだろ……」