"「バカ息子」と笑う義父母、旅行中に息子夫婦が消えた" 第10話
断ち切られた血縁と差す平
あの悪のような々から、半のが静かに流れた。
空はどこまでも青く澄み渡り、やわらかな初のがの並をよく揺らしている。
かつて義父母にゴミ敷のように踏み荒らされたあの軒は、私の父のである産業者の尽力により、相よりも好条件で若いご夫婦へと売却された。祖父から受け継いだの価値がかったこともあり、宅ローンは全額綺麗に括完済され、元には諸経費を差し引いても百万円ほどのまとまった売却益が残った。
義父母のそのの消息は、の便りにしだけに入ってきた。
借の返済にき詰まったは、自己破産の続きを取らざるを得なくなったという。当然、クレジットカードも使えず、たな借もできない。親族同からも完全に絶縁され、最終には役所の福祉課の指導のもと、活保護を受しながら、郊にある築の老朽化した単者向け福祉アパートに別々に入居させられたそうだ。
顔をわせればお互いの浪費を罵りい、狭い畳の暗い部で、誰からも連絡が来ない話を見つめながら、孤独に余を過ごしているという。者を踏みにじり、見すことでしか自尊を保てなかった者たちがに入れた、あまりにもふさわしい結末だった。
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方、私たちは郊の静かな台の分譲に、さな平のを築した。
の軒と比べれば、延面積はずっとコンパクトだ。しかし、無垢のパイン材をふんだんに使ったリビングは当たりが抜群で、でもかなが部の隅々までき届く。
何より、このには私たちを脅かす毒親のはどこにもない。誰の線も気にせず、からを伸ばして笑いえる、本当の私たちのだった。
「はる子、洗濯物を取り込もうか。しがてきたよ」
庭から、麦わら子をかぶった琢磨が笑顔で顔を覗かせた。休の庭いじりでし焼けした彼の表には、かつて職で怯え、さくなっていた面は微もない。自信に満ちた、穏やかで頼もしい、私の好きな夫の笑顔がそこにあった。
「ありがとう、琢磨さん。今くわ」
私が縁側へると、琢磨は慌てて駆け寄ってきて、私のから洗濯籠をひょいと奪い取った。
「こらこら、いものを持っちゃダメだって言ってるだろ。今は体が番事なんだから」
「ふふ、もう臨だからって、過保護なんだから」
私はおかしそうに笑いながら、きく膨らんだ自らのお腹を両で優しく包み込んだ。
トクン、トクン。
のひらので、力く、温かい胎が返ってくる。
妊娠ヶ。来には、元気な男の子がこのにまれてくる予定だ。
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「……ねえ、琢磨」
「ん? どうした?」
取り込んだばかりのお様の匂いがするバスタオルを抱えながら、琢磨が優しく微笑みかけてくる。
「族って、血が繋がっているから族になるんじゃないのよね。お互いをいやって、守るべき瞬にちゃんとを握りえるたちのことを、本当の族って言うのよね」
私の言葉に、琢磨は目を細め、おしそうに私のふっくらとしたお腹にきなのひらをねた。
「ああ、本当にそうだね。俺、はる子とお義父さん、お義母さんに教えてもらったんだ。優しさはさじゃないってこと。をするってことは、そのの尊厳を何があっても守り抜くことなんだって」
琢磨のの温もりが、私のお腹を通して、の赤ちゃんへと伝わっていくようだった。
「この子がまれたら、たくさん抱きしめて、たくさん褒めてあげようね。『まれてきてくれてありがとう、好きだよ』って、毎伝えよう」
「うん。世界で番温かい庭にしようね」
の笑い声が、初のやわらかなに乗って、しいがの庭へと溶け込んでいく。
庭の片隅には、琢磨が作りしたさな製のブランコが、やさしくに揺れていた。
過の暗い呪縛は、もうどこにも届かない。
私たちはしっかりと繋いだをすことなく、これからまれてくるしい命とともに、あふれる未来へと、歩ずつ確かに歩み続けていく。