みかん小説
本棚

"離婚1時間でカード5枚停止、義母の豪邸宴会が一変" 第16話

の沈黙

達也がに膝をついても、誰も助け起こそうとしなかった。親戚たちはずつ席をち、私から目をそらしてへ向かおうとした。さっきまで達也のだと褒めていた叔父も、の肩を叩いていた従兄弟も、今は自分が何を言ったかいしたくないようだった。私はその背を見送りながら、りを向ける相を違えないようにした。

「しお待ちください」と宮崎が言った。「お忘れ物の確認をいたします。お帰りになる方は順にご案内します」。ホテルのスタッフは入を塞がず、客が混乱しないよう対応した。会計の契約者は達也であり、招待された全員に千百万円の支払い義務があるわけではない。私はその点を親戚たちにも説した。

すると、が声をげた。「あんたたちだってべたでしょう。しずつ払ってくれたらいいじゃない」。誰も返事をしなかった。は「親戚なのにね」と泣きしたが、慎吾が静かに言った。「伯母さん、僕らは無料で招待されたんです。支払いが必なら最初に説するべきでした」。その言葉は、今初めてに向けられた正当な反論だった。

私は慎吾へ礼を言った。彼は「もっとく確認すればよかった」とをげたが、私は首を横に振った。「疑問を持ったに調べてくださった。

広告

それだけで分です」。彼が保した資の説資料は、川が必に応じて確認することになった。切なのは、誰かを私の方にすることではなく、嘘を事実に置き換えていくことだった。

帰ろうとする親戚のが、玄関で私にさくをげた。「あなたが毎送ってくれたお菓子、さんは達也君が買ったと言っていました」。私はその話を聞き、驚きはしなかった。は私の贈り物まで息子の柄にしていたのだ。それでも、受け取ったがんでくれた事実は変わらない。私は「召しがっていただけたならよかったです」とだけ答えた。

広の隅に、見覚えのある配の女性がいた。達也の叔母の澄さんだ。結婚当初、私に編みの鍋つかみをくれたで、親戚の集まりではいつも台所を伝ってくれた。彼女は私のに来ると、「美緒さん、ごめんなさい」と言った。「があなたを追いしたって聞いて、止めようとったの。でも来てしまった。ちゃんと聞かなかった私も悪かったわ」

私は澄さんのを握った。彼女が私を侮辱したことは度もない。今も宴会の途で帰ろうとしたが、に引き止められていたという。私は「帰ってください。もう遅いですから」と伝えた。彼女は何度もをげ、玄関で靴を履くに、私が以贈ったさな布袋を鞄から取りして見せた。

広告

「これ、今でも使ってるの。あなたが作ってくれたでしょう」。私はわず笑った。のすべてが嘘だったわけではない。そのことが分かるだけで、し呼吸が楽になった。私が求めていたのは、豪邸を褒められることでも、肩きを恐れられることでもなく、こういうさな記憶だったのだ。

親戚たちが帰ったあと、は急に私へづいた。「私、あなたを娘だとっていたのよ」。私はその言葉を聞き、初めてはっきりと答えた。「娘だとっていたなら、病気のに預かった分証を勝に撮しないでほしかったです」。はをいたまま固まった。私がっているとはっていなかったのだろう。

「証拠があるの?」と彼女がさく聞いた。「あります。だから、これ以私に嘘をつかないでください」。私は声を荒げずに言った。は目を伏せ、しばらくしてから「達也のためだった」とつぶやいた。その言で、彼女がまだ自分のしたことを理解していないのが分かった。

私は川に図し、居契約の終通を渡してもらった。そこには退の期限と、財の確認方法が記されている。はを受け取り、「今夜ていけというの」と怯えた。私は「いいえ。契約に従って続きします」と答えた。今ここで誰かをへ追いしても、私のは戻ってこない。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: