"ママ、弟が生まれたらママも譲るの?" 第4話
おで弟が待ってるから、ごはんをする練習をしなきゃいけないの」……って』
息が止まりそうだった。 臓を、氷ので握りつぶされたような気が、元から気に駆けがってくる。
する練習。 歳の、まだ幼稚園の組の女の子が。 好きなハンバーグを目のにして、自分の空腹を押し殺し、分け与えようとしていたというのか。
『お母様、ご庭で何か……その、音ちゃんがプレッシャーをじるような来事はございましたでしょうか? 赤ちゃんがまれると、の子返りといって赤ちゃん返りをするお子さんはいのですが、音ちゃんのは逆に、自分を追い詰めるように「お姉ちゃん」を演じようとしていて……し配になりまして』
「先……」 声が震えて、うまく息が吸えなかった。 「教えてくださって……ありがとうございます。本当に、ありがとうございます」
『お母様もご妊娠で変な期に、申し訳ありません。でも、音ちゃん、今はお弁当の米をべただけで、蓋を閉めてしまったんです。「これ以べたら、弟のごはんがなくなっちゃう」って……』
「……っ」
涙が、ボロボロと溢れた。 喉の奥からせりがってくる嗚咽を必に抑えながら、私は先にくをげ続けた。
話を切った、私はスマートフォンの画面を握りしめたまま、そのに崩れ落ちた。
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からは、ワイドショーの司会者の品な笑い声が聞こえてくる。 義母はコタツでお茶をすすりながら、煎餅をボリボリと齧っていた。
私が「べるな」と責められたのではない。 私が「いが張っている」と嘲笑された姿を見て、音は学んでしまったのだ。 このでは、自分が何かを欲しがれば、誰かの分を奪うことになるのだと。 自分がしなければ、母親や、これからまれてくる弟が攻撃されるのだと。
「……何泣いてるのよ、美咲さん」
の引き戸がき、義母が怪訝そうに顔を覗かせた。 「幼稚園から話? 音ちゃん、でもしたの?」
私は涙を拭うことすら忘れ、に座り込んだまま義母を睨みつけた。 その線の鋭さに、義母が瞬、怯えたようにずさりする。
「お義母さん」 私のからたのは、自分でも聞いたことがないほど、く濁った声だった。
「音が、幼稚園でお弁当をべるのをやめました」
「は……? 何それ」
「『弟のために、ごはんをする練習をしてる』って……お友達におかずを全部配って、米をしかべなかったそうです」
義母は瞬、息を呑んだ。 だが、その揺はほんの数秒で、すぐにいつもの馬鹿にしたような笑いに取って代わられた。
「な、何よそれ! げさねえ! 子どもがちょっとお友達に親切にしただけじゃないの! それを何? 私のせいだって言いたいの?」
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「親切で米しかべない子がどこにいますか!!」
私の声が、リビングの壁を震わせた。 自分でも制御できないほどの激だった。 腹の底から突きげてくるりで、界が真っ赤に染まる。
「歳の子が! お腹を空かせて! 弟のために自分が飢えなきゃいけないってい込んでるんですよ!? これのどこが冗談なんですか! これのどこが悪気がないで済まされるんですか!!」
義母は肩をすくめ、吐き捨てるように言った。 「だ、だからって私に鳴りつけることないでしょ! 私がいつ『べるな』なんて言ったのよ! ただ美咲さんがべ過ぎだから注しただけでしょ! 子どもが勝に勘違いしたことを、何でもかんでも寄りのせいにして……本当にげのない嫁ね!」
話が通じない。 このには、の痛みを像する回が、まれつきしないのだ。 自分が発した言が、どれほど残酷にのを削り取るか、その因果関係を理解する性も品性もない。
その、玄関のドアがガチャリといた。
「ただいまー」
幼稚園バスからりた音が、黄い子をかぶって入ってきた。 さな背に、きなリュックを背負っている。
私は慌てて涙を拭い、玄関へ駆け寄った。
「音、おかえり」
音は私の顔を見るなり、何かを察したように線を泳がせ、ぎゅっとリュックの紐を握りしめた。
先から連絡がいったことを、子どもながらに勘づいているようだった。