"離婚しても、うちの嫁を辞めていいとは言ってない" 第10話
誰も来なかった。 「男の嫁さんがしっかりしてるからだね」と先だけで褒めそやし、面倒なことはすべて私に押し付けて、自分たちは全な所からみの見物を決め込んでいただけだ。
かつての私なら、画面ので震え、涙を流しながら、文の謝罪と釈のメッセージを打っていたはずだ。 『私の説がりず申し訳ありません』『決して見捨てたわけではなく……』と、必に自分の潔を証しようとしていただろう。
の目を気に病み、悪者にされることを何よりも恐れていた。 『いい嫁』『よくできた妻』という檻のに、自ら閉じこもっていたのだ。
私は、メッセージの入力欄を度もタップしなかった。 のメニューボタンを押し、設定画面をく。
『グループを退会しますか?』 『退会する』
迷いは、ミリもなかった。
続いて、連絡先に登録されていた親戚たちの名を、から順にすべてブロックし、削除していった。 叔父、伯母、従兄弟。 私のの苦しみを度も像しようとせず、側から無責任なを投げてくるだけのたち。
画面から名が消えるたび、部の空気が澄んでいくような気がした。
スマホをローテーブルのに置き、私は気を消して布団に入った。 井の目をぼんやりと見つめる。 誰の目も気にしなくていい。
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誰の評価にも怯えなくていい。 悪者で等だ。酷な元嫁で結構。 の都のいい『聖』で居続けるために、私の残りのを差しすつもりは毛なかった。
翌の曜。 午半の病院・形科の待は、獄のような空気に包まれていた。
「痛い! ちょっと理恵、を引っ張らないでよ! 膝が抜けるかとったじゃない!」
枝が待の子の端で、顔を歪めて鳴をげた。 周囲に座っていた齢者たちが、斉に眉をひそめて線を向ける。
「お母さん、声がきい! 恥ずかしいじゃない!」
理恵は首にぶらげた傘を苛たしげに揺らしながら、ヒステリックに鳴り返した。 今朝、理恵は夫と喧嘩をしてをてきていた。 『なんでおが実の母親の病院に付き添うんだよ。朝の子供の弁当はどうすんだ』と夫に文句を言われ、イライラは頂点に達していたのだ。
昨夜、誠司から『俺は今せないプレゼンがある。どうしても無理だ、頼むからってくれ』と座せんばかりに懇願され、渋々引き受けたものの、病院に着いた瞬から定の連続だった。
第駐は当然のように満。 第駐から枝のを引きずるようにして歩かせるだけで分。 受付ので診察券が見つからず、窓で再発の続きを取り、形科の待に辿り着いたには、すでにを過ぎていた。
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「真由美さんはね、もっと優しく腕を支えてくれたわよ。あなたがを引っ張るから、余計に膝が痛むんじゃないの」
枝がめしそうに愚痴をこぼす。
「お母さん、さっきから真由美さん、真由美さんってうるさい! あの女はもうなの! 私だって忙しいを縫って連れてきてあげてるんでしょ!? しは謝しなさいよ!」
「なによその言い方は! 娘のくせに親に謝をするの!? 誠司の方がまだ優しいわ!」
「お兄ちゃんが優しい!? 笑わせないでよ! 昨の夜、お兄ちゃんがなんて言ってたかってる!? 『お袋の文句を聞いてたらがおかしくなりそうだった、度と連れてきたくない』って言ってたのよ!」
「……え?」
枝の顔が、凍りついたように固まった。 溺してきた自の男。 「母さんのことは俺が守る」と言っていたはずの誠司が、裏でそんなことを言っていたとは信じたくなかったのだろう。
「嘘よ……誠司がそんなこと言うはずないわ……」
「嘘じゃないわよ! だから今、私に押し付けたんじゃない! 誰も好きでお母さんの面倒なんか見たくないのよ! お母さんが普段から儘ばかり言ってるからでしょ!!」
理恵の鋭い声が、待に響き渡った。 静まり返るロビー。 受付の護師が困り果てた顔で駆け寄ってくる。
「あの、松本さん……の方のご迷惑になりますので、お静かにお願いできますでしょうか……」
「す、すみません……」