"離婚しても、うちの嫁を辞めていいとは言ってない" 第3話
「……私も、は仕事があります」
『あなたの仕事なんて、所のスーパーのパートじゃないの! シフトなんていくらでも代わってもらえるでしょ! たかが半、をして私を病院に座らせておくだけのことが、なんでできないのよ!』
たかが、半。
ので、その言葉が鋭くリフレインした。 病院の再診。 朝半にをて、満の駐に並び、自再診受付に診察券を通し、採血のの子で待ち、内科の待で待ち、診察で医師に最の血圧と体調の推移を細かく報告し、会計窓で計算を待ち、薬局で調剤を待ち、義母をまで送り届けて遅い昼を作り、片付けをしてからパート先へをげて勤する。
それを、私は過、度も欠かさずやってきた。 会社にをげてを使い、パートの同僚に「いつもすみません」と菓子折りを配りながら、うようにしてスケジュールをやりくりしてきたのだ。
胸の奥から、くどす黒い塊がせりがってくるのをじた。
「お義母さん」
私はロッカーの扉を指先でく握りしめた。
「私が仕事を休んでお義母さんを病院にお連れしていた、お義母さんは、私にがあるから付き添っていたとっておられたんですか?」
『……な、何よ、急に気な利いて』
「私のは、最初から余ってなんかいませんでした。
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仕事を調して、周りに迷惑をかけて、必でを作っていたんです」
『そんなの、男の嫁なんだから当たりでしょ!』
義母がヒステリックに叫んだ。 そのに続いた言葉は、私の像の遥か斜めをくものだった。
『いいこと、真由美さん。私たちはね、あなたに誠司の妻を辞めてもいいって言っただけよ! うちのお嫁さんまで辞めていいなんて、言も言ってないじゃないの!』
……は?
のが真っになった。 考が止するとは、こういうことを言うのだろう。 あまりにも破綻した理屈に、りすら通り越して、背筋にたいが吹き抜けていく。
妻を辞めていいが、嫁を辞めていいとは言っていない。
つまり、彼らにとって『婚』とは、ただ気に入らない女を戸籍から排除し、妻としての権利や活費を渡さなくて済むようにしただけの話で、背負わせていた介護や雑用という名の労働力は、そのまま無償で搾取し続けるつもりだったのだ。
元が微かに震えていた。 けれど、それは恐怖やしみの震えではなかった。 、私が必に尽くしてきた相の『底の浅さ』に対する、底れない侮蔑の震えだった。
「お義母さん」
私は静かに、しかしはっきりと告げた。
「に介護をすることは、法律できません。これからの通院は、実の息子である誠司さんと、娘である理恵さんにご相談ください。
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失礼します」
『ちょっと、真由美さん! 待ちなさいよ! 真由――』
通話終ボタンを押し、そのまま源を落とした。 暗い更に、自分の荒い呼吸の音だけが響いていた。
そのの夜過ぎ。 アパートの畳で、買ってきた惣菜のコロッケをつまんでいただった。
再びスマホが激しく振した。 画面にる名は『松本誠司』。
ため息をく吐きし、通話ボタンをスライドさせてに当てた。 もしもし、とをくよりく、受話器から鳴り声が炸裂した。
『おい真由美! お、お袋に何言ったんだよ!』
が痛くなるほどの声だった。 背景からテレビのバラエティ番組の笑い声が聞こえる。実のリビングからかけているらしい。
『さっきからお袋が泣きじゃくって過呼吸になりかけてるぞ!「真由美さんにたく捨てられた」って、が震えてご飯もべられないんだぞ! お、血も涙もないのかよ!』
「……用件は何ですか」
『何ですか、じゃないだろ! の病院だよ! の朝、でお袋を迎えにってくれって頼んでるだけだろうが! なんでそんな簡単なことができないんだよ!』
「簡単なことなら、あなたがやってください」
淡々と返すと、元夫はを鳴らして吐き捨てた。
『俺は、営業の全体会議があるんだよ! おみたいにスーパーのレジ打ちと伝票理やってるだけのと違って、こっちは会社の板背負って働いてんだよ! なんか取れるわけないだろ!』