"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第13話
バツ印をつけられた子を見たときの、悠真のあの顔。 あの子は、父親に怯えているだけじゃない。 母親の痕跡がゴミのように扱われている現実を、自分自のとねわせて怯えているのだ。
『ぼくが、もっといい子にしないと』 『ぼくのせいで、ママが捨てられたんだ』
そうい込んでいるに違いない。
「……絶対に、あいつのい通りにはさせない」
唇を噛み締めた。 鉄のが、のに広がった。
姉のマンションに戻り着いたのは、夜のを回った頃だった。 玄関をけた瞬、私の乱れた髪と、青ざめた顔を見た姉が、鳴にい声をげて駆け寄ってきた。
「真紀!? あんた、どこってたのよ! 話にもないで!」
「お姉ちゃん……」
「があるじゃない! ちょっと、体を触らせて!」
姉の温かいが額に触れた瞬、糸が切れたように私の界が回転した。 膝の力が抜け、そのまま玄関マットのに倒れ込んだ。
「真紀! 真紀!!」
のく識ので、姉の叫び声と、救急のサイレンの聴が混ざりっていた。
目が覚めたのは、翌の曜の朝だった。
い井。 瞬、またあの病棟に戻ってしまったのかと錯覚して、ね起きそうになった。 だが、をくすぐったのは消毒液ではなく、姉のの柔剤の匂いだった。
「……起きた?」
枕元に、腕組みをした姉がっていた。 その顔には、隠しようのない疲労と、りのが濃く刻まれていた。
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「お姉ちゃん……私……」
「点滴打ってもらって、さっき往診の先が帰ったところよ。創部の炎症。過度のストレスと疲労による発だってさ」
姉はパイプ子を引き寄せ、ドカリと座った。 そして、私の枕元に置かれていた、何枚ものメモ用を指差した。
それは、私が昨の夜まで、姉ののノートにき殴っていたものだった。 『朝半起、悠真の朝メニュー』 『放課の学童迎え、夕方』 『宿題の丸つけ順』 『週末の作り置きレシピ』
「……これ、何?」
姉のたい声がってきた。
「何って……私がに戻ったの、スケジュール……。亮介に、『おには何もできない』って言われたから。ちゃんとやれるって、証しなきゃいけないから……」
「バカじゃないの」
ピシャリと、平打ちをらったような衝撃だった。
「……え?」
「あんた、誰と戦ってんのよ」
姉の瞳が、りでギラギラと燃えていた。
「悠真を取り戻したいんじゃないの? あの子を抱きしめたいんじゃないの? 何よこのスケジュール。『私も亮介と同じように完璧に事を回せます』って? あいつと同じ俵に乗って、何がしたいのよ!」
「だって……そうしないと、亮介は私をに入れない! 母親失格だって、悠真ので私を否定し続けるのよ!」
「あいつの俵に乗った点で、あんたの負けなのよ!」
姉が私の胸元の布団をく掴んだ。
「あんたは半、命を削ってき延びたの。
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内臓を切って、抗がん剤で毛根全部やられて、それでも悠真の元に帰りたくて戻ってきたんでしょ? なんで病みがりのあんたが、健康な男と同じスピードで事をこなさなきゃいけないのよ! できないのが当たりじゃない!」
涙が、ボロボロと枕にこぼれ落ちた。
「でも……できない母親なんて、悠真にいらないって……亮介が……」
「あいつが狂ってんのよ!」
姉は私のを、乱暴に抱きしめた。
「完璧な事なんて、クソらえよ。子供が求めてるのは、通りにく政婦じゃない。母親の笑顔でしょ。あんたが息を切らして、傷を押さえながら作った卵焼きなんて、あの子がどんな気持ちでべるとうの? 『ぼくのせいでママが苦しんでる』って、また自分を責めるだけじゃない!」
臓を、素で握りつぶされたような痛みがった。
そうだ。 私は、亮介の仕掛けたゲームに、自分からび込もうとしていた。 「で完璧にこなすこと」が親の価値だと刷り込まれ、あの子をさせるためではなく、自分のプライドとろめたさを埋めるために、焦っていたのだ。
「真紀」
姉が私の顔を覗き込んだ。
「正面からきなさい。の都で子供のを壊す奴には、の社会のルールで鉄槌をすの。……学を使いなさい」
「学……?」
そのだった。
リビングに置いてあった私のスマートフォンが、規則正しい着信音を鳴らし始めた。
姉がちがり、スマホを持って戻ってくる。