"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第7話
……私が亮介に連絡する。の午、で悠真と会う約束を取り付けるわ」
曜の午。
さいたま内の型ショッピングモールのフードコートは、休を楽しむ族連れで溢れかえっていた。 ベビーカーを押す夫婦、ソフトクリームを頬張る子供たち。 半、病棟のい壁と消毒液の匂いのに閉じ込められていた私にとって、その雑踏はめまいがするほど眩しく、そしてい世界に見えた。
姉が夫に突きつけた条件は、簡潔だった。 『母親が子供に会う権利をこれ以当に制限するなら、弁護士をてて庭裁判所に調を申してる』
世体を何よりも気にする夫は、その言葉に怯んだ。 そうして渋々承諾してきたのが、この「曜の午、商業施設でだけ」という面会だった。
「真紀、無理しないでね。私はしれた席にいるから」
姉が私の肩を軽く叩き、数席れたカフェのボックス席へと移していった。
私はテーブルのに、さなタッパーを置いた。 今朝、痛む腹部をかばいながら、姉の台所で焼いた卵焼き。 悠真が好きな、汁をしめに入れた、甘い卵焼き。 病院にいた半、何度も何度も、あの子に作ってあげたいと見ていたものだった。
臓が、喉のすぐでねている。
「……真紀」
く、い声がってきた。
顔をげると、夫がっていた。
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黒いジャケットにチノパン。そのすぐろに、夫のの裾をさく掴んだ悠真がいた。
「悠真……!」
ちがろうとして、腹部に激痛がり、わずテーブルの端を掴んだ。 夫はめた目でそれを見ろし、舌打ちをさく漏らした。
「ほら見ろ。つのすらやっとじゃないか。……約束通り、連れてきたぞ。半には駐に戻れ。悠真はから、公文の宿題をやることになってるからな」
「半……? って約束じゃ――」
「俺の都だ。文句があるなら今すぐ連れて帰る」
夫は悠真の肩をに押しすと、私に線をわせることもせず、踵を返した。 「向こうのベンチにいる。変なこと吹き込むなよ」とだけ吐き捨てて、混みのへと消えていった。
残されたのは、私と、息子。
「……悠真」
私は子に座り直し、震えるで隣の席を引いた。 「おいで。座って?」
悠真は、ビクッと肩を震わせた。 そして、恐る恐る、音をてないように子を引いて腰掛けた。
昨、通学で見たよりも、さらに距をじた。 あの子は両を膝のにきちんと揃え、線をテーブルのに落としたまま、微だにしない。
「悠真、元気だった? 学、楽しい?」
「……うん」
「、いっぱいべてる? 話で言ってたよね」
「……うん。残さないで、ぜんぶべてる」
会話が、続かない。 かつては、私の顔を見るなりマシンガンのようにそのの来事を話し散らかしていたあの子が。
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まるで、面接官のに座らされたのように、い返答しかにしない。
喉の奥が、からからに渇いていく。
「あのね、悠真。これ……ママ、今朝作ってきたの。悠真の好きな、卵焼き」
タッパーの蓋をけた。 湯気はもう消えていたけれど、汁の甘いりが微かにちる。 割り箸を割って、悠真に差しした。
悠真の瞳が、瞬だけ揺れた。 あの子の喉が、ごくりと鳴った。
けれど、あの子はを伸ばさなかった。 代わりに、キョロキョロと周囲を見渡し始めたのだ。 夫が歩いてった方向を、怯えたように何度も何度も確認している。
「……どうしたの? お腹、空いてない?」
「……パパが」
消え入るような声だった。
「パパが……決まった以のオヤツは、べちゃダメって言ってるから」
「これ、オヤツじゃないよ。ママが悠真のために作ったの。つだけでも、べてみて?」
私が箸を握らせようとすると、悠真はを引っ込めた。
「ダメだよ。パパにられる」
あの子のさな肩が、刻みに震えていた。
「……パパの言う通りにしないと、パパ、すっごく怖い顔するから。きな声で鳴るから……ぼく、られたくないもん」
胸の奥を、たい針で突きにされたような覚だった。
「鳴る……? パパが、悠真を鳴るの?」
私の問いかけに、悠真はハッとに返ったようにを噤んだ。 言ってはいけないことを言ってしまった、という顔で、自分の両をぎゅっと握りしめる。
「……ううん。られない。