"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第6話
「真紀。今のあのにはな、おの部なんて、もうつもないんだよ。おの荷物は全部ダンボールに詰めて、トランクルームに送ってある」
「……嘘でしょ?」
「悠真の部を広くするために、おのベッドは粗ゴミで処分した。……帰ってくる所なんて、最初から残してないんだよ」
のエンジンが、く唸りをげた。 黒いミニバンは、私のすぐ脇をすり抜け、滑るようにりっていった。
部座席の窓の奥。 悠真のさなが、ガラスにぺたりと押し付けられていたのが見えた。 けれどはスピードをげ、の宅の向こうへと消えていった。
元に落ちた、本の鍵。
私はそのにへたり込み、たいアスファルトので、かなくなった。 通り過ぎる所の母親たちの、好奇とれみの混ざった線が、針のように突き刺さる。
お腹の傷が、引き裂かれるように痛む。 けれど、それ以に。
『ママ、悠真のこと、もういらないの?』
昨夜の息子の震える声が、の奥で、呪いのように何度も何度も霊していた。
たい湿布の匂いと、微かな埃の匂い。
姉のの客で、私はい煎餅布団のに転がっていた。 腹部の術痕が、ズキズキと脈打つように痛む。 昨、アスファルトのに膝から崩れ落ちたの打撲痕が、青に滲んでいた。
枕元で、スマートフォンがく震える。
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画面を覗き込むと、義母の名が表示されていた。 反射に、喉の奥がキュッと縮みがる。 画面を滑らせ、通話ボタンを押した。
「……もしもし、お義母さん」
『あ、真紀さん? 退院したんですってねえ』
受話器の向こうから聞こえてきたのは、やけに弾んだ、乾いた声だった。
『亮介から聞いたわよ。変だったわねえ。でも、無理してこっちに戻ってこようとしちゃダメよ?』
「……え?」
『亮介、この半で本当に派なお父さんになったのよ。朝く起きて悠真のお弁当作って、夜も洗濯回してね。所の方たちもみんなしてるんだから。「藤原さんところのご主は偉いわねえ」って。私が伝いにこうとしても、「自分でやるから丈夫だ」って言ってねえ』
義母は、息子の成を誇るように息を弾ませていた。
その言葉のつひとつが、やすりのように私の皮膚を削り取っていく。
『真紀さんが途半端に戻ってきて、また倒れでもしたら、今度こそ亮介のほうが過労で倒れちゃうわ。そうなったら会社はどうするの? 宅ローンはどうするのよ。病は病らしく、お姉さんのところでしく静養していなさい。それが番、亮介のためなんだから』
「お義母さん……私はもう、お医者様からも普通の活を送っていいって――」
『普通の活なんて、あなたができるわけないでしょう?』
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遮られた。 酷なまでの断定。
『半も横になってたが、学の男の子の相をできるとってるの? あの子、今すごくがかかる期なのよ。あなたがで寝込んでる姿を見せること自体が、悠真にとって毒なの。母親の役目を果たせないなら、邪魔をしちゃダメ。……じゃあね、お事に』
方に通話が途切れた。
元に残る、ツーツーという無質な子音。 スマートフォンのたいガラス面を、握りしめる。
邪魔。 母親の役目を果たせないなら、邪魔。
義母の言葉が、ので何度も何度も反響した。
台所から、姉の耶がに入ってきた。 には、湯気のつマグカップ。
「……あいつの親? 何て言ってきたの」
「……亮介が、で頑張ってるからって。私が戻ったら、邪魔になるって」
掠れた声で答えると、姉は眉にい皺を刻み、マグカップをテーブルに叩きつけるように置いた。
「ふざけないでよ。何が『で頑張ってる』よ。あんたが入院した直、あの男、うちの旦に泣きついてきたのよ? 『子供の面倒なんか見切れない、実も頼りにならない、どうしたらいいんだ』って取り乱して。……それを支えたのは周りじゃない。自分が限界だったからって、乗り越えた途端に『全部自分の柄』にして、妻を締めすなんて、ただの傲よ」
姉は私のにしゃがみ込み、私の両をく握った。
「真紀。このまま黙ってたら、あんた、本当に戸籍だけの母親にされるわよ」
姉のい線に、息が止まる。
「あいつが悠真に何を吹き込んでるか、確かめなきゃダメ。