"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第4話
翌、曜の午分。
私は、さいたま内の見慣れた宅のれにっていた。 息子の通う学へ続く、通学の交差点。
半ぶりにりったこの所は、何も変わっていなかった。 通学を示す緑の側帯。角のタバコの錆びた板。の柔らかな差しに照らされた、犀のいり。
入院、私は毎ここにっていた。 パートを終え、スーパーの袋を自転のカゴに乗せて、になるのを待っていた。
あの頃の悠真は、からびしてくると、黄い子をで押さえながら、直線に私に向かってってきたものだった。 『ママ! 今ね、図でね、すっごくにできたんだよ!』 そう言って、画用を広げて見せてくれた、あの笑顔。
「……っ」
お腹の傷が、きゅっと痛んだ。 で歩いてきたせいで、息ががっている。 柱のに隠れるようにして、呼吸をえた。
くから、キーンコーンカーンコーンと、懐かしいのチャイムが響いてきた。
臓が、肋骨の内側を激しく叩き始める。 喉の奥が張り付いて、うまく息が吸えない。
のい鉄扉がき、黄い子をかぶったたちの集団が、賑やかな声をげながら吐きされてきた。 とりどりのランドセル。 甲い笑い声。 押しを引くボランティアの齢者たち。
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その雑踏のに、見覚えのある、さなを見つけた。
紺のランドセル。 しきすぎる黄い子。 首からげた、見守り防犯ブザー。
悠真だった。
息が止まりそうになった。 きくなっている。 半はまだ幼稚園児の面を残していた頬の丸みがし削げて、背もし伸びていた。 あの子の隣には、の保護者の姿は――ない。 で歩いている。
私は、柱のから歩を踏みしかけた。 名を呼ぼうと、をきかけた。
そのだった。
通学の向かい側の歩に、台の黒いミニバンがハザードを焚いてまった。 運転席のドアがき、りてきたのは――夫だった。
スーツの着を脱ぎ、ネクタイをし緩めた姿。 平のこのに、仕事を抜けて迎えに来たのだろうか。
「悠真」
夫がく声をかけると、歩いていた悠真がピタリとを止めた。 悠真は、笑顔を見せるわけでもなく、たださく頷いて、りで夫の元へと向かった。
その姿を見た瞬、私のはアスファルトに縫い付けられたようにかなくなった。
悠真の歩き方が、私のっているあの子とまるで違っていた。 いつもなら、端のを蹴っばしたり、端のをむしったりしながら、ふらふらと落ち着きなく歩いていたはずのあの子が。 背筋を自然なほどまっすぐに伸ばし、線をだけに向けて、械のように正確に歩いていた。
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「……悠真」
掠れた声が、喉から漏れた。 できなかった。
私は、緑の側帯を横切って、の元へと駆け寄っていた。 術の傷が引きつり、腹部に激痛がったが、止まることなんてできなかった。
「悠真!」
アスファルトを叩く私の音に、が同に振り返った。
「――え」
ち止まった悠真の丸い目が、見かれた。
半よりもし焼けした顔。 見慣れた、好きな私の息子。
「悠真……ママだよ。会いに来たよ」
膝をつき、息子の線のさまで体を落とそうとした。 腕を広げて、そのさな体を抱きしめようとした。
けれど。
悠真は、歩もにまなかった。
び込んでくるどころか、あの子のは、ピタリと固まっていた。 その顔に浮かんだのは、びではなかった。 信じられないものを見たような、恐怖に似た揺。
そして――。
悠真の首が、ぎこちなく横に回った。 あの子は、私の顔を見た直、隣につ夫の顔を、恐る恐る見げたのだ。
……え?
息が凍りついた。
何、その顔。 どうして、お父さんの顔を伺っているの? どうして、お父さんの許を待つように、怯えた目をしているの?
「真紀……!?」
夫の顔が、驚愕に歪んだ。 だが、その表は瞬で、どす黒いりと敵へと変わった。
夫は素く悠真の肩を掴むと、自分の背へと引に引き摺りろした。 まるで、審者から子供を守るような、骨な拒絶の作。
「……何しに来た」
周囲には、の児童たちや、迎えに来た所の保護者たちの姿がある。