"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第3話
静まり返ったリビングで、私の叫びが壁にぶつかってね返る。 呂から姉がびしてくる音が聞こえたが、構っていられなかった。
夫は、悪びれる様子もなく、ややかに言い放った。
『嘘は言ってないだろ』
「……は?」
『お、病気が治ったからって、からと同じように事全部できるのか? 朝に起きて朝作って、悠真の登に付き添って、掃除して洗濯して、夕方に学まで迎えにって、宿題見ながら夕飯作って、呂に入れて寝かしつける。……できるのかよ?』
言葉に詰まる。 医師からは、激しい運やいものを持つことは禁じられている。 常活は送れても、半のブランクと筋肉の衰えはある。徐々に慣らしていく必があると言われていた。
「それは……すぐには無理かもしれない。でも、しずつ――」
『ほら見ろ』
夫が、嘲笑うように言葉を遮った。
『できないんだろ。じゃあ、に戻ってきても結局は寝たきりで、悠真にさせて、俺に負担をかけるだけじゃないか。そんなの、にいないのと同じだ』
「だからって、私が悠真を捨てたみたいに言う必がどこにあるのよ! あの子、泣いてたのよ!? ママにいらないって言われたとって、怯えてたのよ!」
『あいつのためだよ!』
夫が突然、鳴り声をげた。 受話器がビリビリと震えるほどの、剥きしの声。
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『途半端に期待させて、またおが倒れたらどうするんだよ! あいつがどれだけ荒れたかってんのか!? おが入院した最初のヶ、毎晩夜泣きして、お漏らしして、学にきたくないって暴れて! 俺が会社にげて遅刻して、同僚に叩かれながらどれだけいつくばってあいつを育ててきたとってんだ!』
息が止まる。
『おはいいよな。病院のベッドで横になって、飯って、寝てりゃよかったんだからさ!』
「……っ」
『こっちは毎がき獄だったんだよ! それを、やっと……やっと俺で回せるようになったんだ。悠真も、母親がいなくても泣かなくなった。俺の言うことを聞いて、で準備して、通りにけるようになったんだよ!』
夫の呼吸が荒い。 話越しに、彼の異常な興奮と執着が伝わってくる。
『せっかく俺が築きげた完璧な活を、おの自分勝な「会いたい」でぶち壊すな。悠真には、「ママは自分の体調を優先して、別のところで静養してる」って理解させとくのが番傷が浅いんだよ』
「違う……そんなの、あなたの自己満じゃない……!」
『今週末まで、絶対ににづくな。悠真にも度と連絡するな。スマホは没収する』
「待って、亮介! 亮介!!」
ブツン、と通話が切れた。 すぐにかけ直したが、コール音すら鳴らずに留守番話サービスに切り替わった。
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着信拒否をされたのだと悟った。
膝から崩れ落ちた。 フローリングのたさが、パジャマ越しに突き刺さる。
「真紀!」
駆け寄ってきた姉が、私の肩を抱きしめた。 私の体は、歯の根がわないほどガタガタと震えていた。
病院のベッドで寝てりゃよかった? 飯って、寝てりゃよかった?
私の腹部には、センチを超える々しい術痕がある。 夜に、激痛でナースコールも押せず、脂汗を流しながらシーツを噛み締めていたは何だったの? 抗がん剤を点滴されるたび、血管が焼けるような痛みに耐え、抜け落ちる髪の毛をゴミ箱に捨てながら、それでもきたい、息子のランドセル姿をもう度見たいと祈り続けたあの々は、夫にとって「楽をしていた」だったというの?
許せない。
しみよりも先に、徹な炎のようなりが、私の胸の底で音をてて燃えがった。
夫は、息子のために私をざけているんじゃない。 自分が苦労してに入れた「完璧な父親」という支配権を、私に邪魔されたくないだけだ。 あの子が母親を求めなくなるまで、嘘を塗りねて、私をあの子のから完全に消しようとしている。
「お姉ちゃん」
私は顔をげた。 涙は、もう止まっていた。
「の午、を貸して」
「真紀……? どこにく気?」
「学」
喉の奥が、からからに乾いていた。
けれど、声だけは驚くほど澄んでいた。
「あの子に、直接会いにく。父親のフィルターを通さないで、私の目であの子を見る」