"小一の息子の問い「ママ、僕を捨てたの?」" 第2話
悠真が学に入学したのは、今の。 そのわずかヶ、の初旬に私は職で倒れた。 激しい腹痛からの緊急搬送。そのまま即入院、緊急術。
入学したばかりで、ランドセルを背負うのすらぎこちなかった歳の息子を、私は病院のベッドから見送ることしかできなかった。 運会も、初めての休みも、学期の始業式も。 全部、夫に押し付けてしまった。
夫は普通の会社員だ。 残業を減らし、慣れない料理を作り、毎の宿題を見て、学からの量のプリントに目を通す。 それがどれほど過酷だったか。 見いに来るたび、夫の顔から気が消え、無精髭が伸び、数が減っていったのを覚えている。
『俺がどれだけ変か、おには分からないだろうな』
病で、何度そう呟かれただろう。 だから私は、文句を言えなかった。 夫の苛ちは、私の病気のせいだ。 私が倒れたせいで、族をめちゃくちゃにしてしまったのだと、自分を責め続けていた。
夜の半。 姉が呂に入っている隙に、私はバッグの底からスマートフォンを取りした。
胸の奥が、鐘のように打っている。 指先がたく震えて、画面をうまくタップできない。
いたのは、息子のキッズケータイとのトーク画面。 文字の入力がまだおぼつかない息子とは、いつもい音声メッセージでやり取りをしていた。
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入院、抗がん剤で声がない期が続き、ここヶほどは連絡を控えていた。 亮介からも「画面を見ると悠真が寂しがって泣くから、連絡は控えてくれ」ときつく言われていたからだ。
でも、今だけは。 退院した今だけは、息子の声が聞きたかった。
震える親指で録音ボタンを押す。
「悠真、ママだよ。今ね、病院からられたの。悠真、元気にしてる? ご飯、ちゃんとべた?」
送信。
画面を見つめたまま、息を止めた。 分。分。分。
もう寝てしまっただろうか。 それとも、夫に見つかってられているだろうか。 諦めて画面を閉じようとしたその瞬、ピロン、とい受信音が鳴った。
喉がねた。 慌てて通をく。 息子からの、秒の音声ファイル。
臓を指先で押さえつけるようにしながら、再ボタンを押した。
微かな擦れの音。 そして、毛布に潜り込んで囁くような、ひどく頼りない、息子の声がスピーカーから流れてきた。
『……ママ? ママ、もうお腹痛くないの?』
涙が、気に界を滲ませた。 痛くないよ、もう丈夫だよ。そう吹き込もうとした。
けれど、息子の声は、そこで途切れなかった。
息を潜めるような、怯えたが数秒続いた。 スピーカーの向こうから、さな、刃物のような言葉が零れ落ちてきた。
『……じゃあ、なんで帰ってこないの?』
「え……?」
声が漏れた。
『パパが言ってたよ。
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ママはもう、で別のところにみたいんだって。悠真とパパのところには、戻りたくないんだって言ってたよ』
血の気が、瞬で引いた。
指先から温度が失われていく。 毛穴という毛穴から、たい汗が噴きすのが分かった。
……は? 今、あの子は何て言った?
『ママ、悠真のこと、もういらないの?』
掠れた息子の声の最に、さくをすする音が混ざっていた。 そこで音声はプツリと切れた。
スマホを握るが、ガタガタと激しく震えした。 呼吸がうまくできない。 肺の空気が全部吐きされて、吸い込むことができない。
私が、で暮らしたい? 私が、息子のところに戻りたくない……?
誰が。 誰がそんなことを言った?
亮介? あなたが、歳のあの子に、そんな嘘を吹き込んだの?
りなのか、恐怖なのか、絶望なのか分からない黒い塊が、胃の底からせりがってきた。 気がつけば私は、夫の話番号を荒々しくタップしていた。
コール音が回鳴ったところで、通話が繋がった。
『……夜分に何なんだよ。悠真がやっと寝たところだぞ』
く、あからさまに嫌な夫の声。 その背から、微かにテレビの音が聞こえていた。
「亮介」
自分の声が、信じられないほどく震えていた。
「悠真に、何を吹き込んだの」
話の向こうの空気が、わずかに張るのが分かった。 だが、夫はすぐにを鳴らした。
『あいつ、メッセージ送ったのか。まったく、余計な真似を……』
「質問に答えて! 私がで暮らしたがってるって、悠真の元に戻りたくないって、あの子に言ったの!?」