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"12年消えていた元夫が、娘の式で「父親」になる" 第5話

画面が青くる。 メッセージの着信をらせる通。 差は、今、私の義理の息子になったばかりの、佐藤拓也さんからだった。

郎からの礼状だろうか。 疲れた目をこすりながら、私は画面をスワイプした。 だが、そこに並んでいた文面を目にした瞬、私の呼吸は完全に止まった。

『お義母さん、本は素らしい式をありがとうございました。奈緒と、から謝しております。 実はおきの、お義父さんとしだけお酒をむ会がありました。 お義父さんから、奈緒が学に学する際、誰にも言わずにご自が額の借を背負ってまで教育費を全額面されたというお話を伺いました。 当、クリーニングの経営が苦しかったお義母さんに余計な負担をかけまいと、でをかぶる覚悟だったと……。 男として、同じ父親になるとして、お義父さんのい覚悟に胸がくなりました。 器用でも、族をから支え続けてこられたお義父さんのいを、私も受け継ぎ、奈緒をかけて幸せにします。 お義母さんも、どうかこれからは肩の荷をろして、ご自のお体を切にしてください』

画面を持つ私の指先が、刻みに、カタカタと音をてて震え始めた。

……借? あのが、教育費を全額面した……?

「……っ」

声にならない叫びが、喉の奥で引き裂かれた。

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めまいがして、にをついた。

元夫の嘘は、披宴のあの限りの、体面を取り繕うためのなどではなかった。 あの男はすでに、娘のしい庭の奥くにまで、自らを「で支え続けた偉な父親」として根を張り巡らせ始めていたのだ。

そして、私のは。 私の血の滲むような労働と、奈緒に遺したはずのささやかな誇りは。 あの男の「美談」を完成させるための、都のいい踏み台として、完全に奪いられようとしていた。

画面にる拓也さんの無邪気で誠実な謝の言葉が、鋭利な刃物となって、私の臓を容赦なくえぐり取っていった。

スマートフォンの青いを見つめたまま、私は朝を迎えた。

画面に表示された、娘婿の拓也さんからの文面。 『お義父さんが額の借を背負ってまで教育費を全額面されたと……男として胸がくなりました』

その文字を、指先でなぞる。 臓の奥が、ぎりぎりと軋むような音がした。

嘘をねるにも、限度というものがある。 あのが借をした? 奈緒の学学のために?

冗談ではない。 、あの男が残していったのは、消費者融からの督促状と、空っぽになった活費の通帳だけだった。 奈緒の入学万円を納めるため、私は当すでにを悪くしていた静岡の実の母に泣きつき、母のわずかなと定期預を解約してもらったのだ。

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それから卒業までのの授業料は、私が朝から夜までクリーニングの応援とパートを掛け持ちし、枚百円のプレスを何万回繰り返して捻した。

その私の血と汗の結晶を、あのは言で自分の武勇伝にすり替えた。 拓也さんという、何もらない誠実な青を騙し、恩を売り、善の父親として君臨するために。

返信を打とうとして、指が止まった。 『それは嘘です。あのは円もしていません』 そう打ち込んで、消した。

今、婚旅を控えた拓也さんにこれを送りつければ、どうなるか。 奈緒と拓也さんのに亀裂が入る。 披宴の翌朝から、婚夫婦にを投げつけるような真似を、母親としてしていいのか。

結局、私は携帯を伏せた。 まただ。 また私は、世体と娘の平穏を秤にかけ、自分のを塞いでしまった。 そのぬるい躊躇が、さらなる毒を招き寄せることになるともらずに。

披宴から週が過ぎた頃から、異変は目に見える形となって現れ始めた。

「お母さん、昨お父さんが居に来てくれたの」

昼休み、奈緒からかかってきた話の声は、自然なほど弾んでいた。

「拓也さんとで、駅の割烹にったんだよ。お父さん、拓也さんの仕事の話をすごくに聞いてくれて……『若い頃の俺に似て骨がある』って褒めてくれたの。

拓也さんも、すごく嬉しそうだった」

の奥で、ざらりとした砂を噛むような触がした。

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