"もう来るな" 第2話
|野さん
ここで、の持ち主のことを話しておく。先にそっちを聞いてもらったほうが、わかりやすいとう。
の持ち主は野さんというだった。奥さんをくにくしていて、娘は県へ嫁ぎ、めったに帰ってこない。には息子の亮太とでんでいた。
亮太はギャンブルにのめり込んでいた。負けるたびに帰ってきては、父親にをせびる。もらえなければ殴る。売れるものを片っ端から売っても、追いつかなかった。
あるとき、賭の連が亮太を連れてきた。父親ので、これ以返さないなら息子のを切り落とす、と脅したらしい。
見捨てられなかった野さんは、あちこちでを借りた。しまいには、何軒ものヤミにまでをした。
息子から受けてきた仕打ち。昼夜を問わず押しかけてきては、ペンキをまき、のに居座る取りて。連は、嫁いだ娘のにまで来るようになった。
野さんは最に赤いを着て、2階の主寝で自ら命を絶った。
そのに、自分の指をかみ切って、壁にきくき残したという。
「全部、おらのせいだ!」
ここまでは、から聞いた話だった。私は、ひどい話だなといながら、その「おら」は息子と取りての連のことだろうと受け取っていた。
あとになって、その話には抜けていることがいくつもあるとった。
まずつ。
野さんの葬儀のあと、亮太を見たが誰もいなかった。