みかん小説
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"もう来るな" 第1話

|真昼の話

幽霊なんて信じてない。(って言うたびに、痛い目見てるんだけど。)

みんなってるとうけど、事故物件は相の6〜7割くらいで売りにることがい。値段は魅力だし、い物件を探してるお客さんもいる。売れればちゃんと歩が入るから、私は事故物件を売るのがけっこう好きだった。

うちのにはつの決まりがあって、は入ったに覚えさせられる。

つ目。首吊りがあった物件は、夕方6を過ぎたら内見に連れていかない。

つ目。入るときは声をかけて、るときは「お邪魔しました」と言う。

つ目。お客さんに何を聞かれても、のでは「どうくなったか」「どこでくなったか」を話さない。

その物件も、首吊りがあっただった。帯の脇にある古い。その奥に建つ5階建てのさなビルで、もとは居兼作業として使われていたらしい。今の持ち主は黒田さん。私は度も会ったことがない。売却の依頼は、が直接受けてきた。

契約を取って帰ってきたは、私にい祝儀袋を渡した。黒田さんから、担当者への付けだという。

「黒田さん、さんを指名してるんだよ。あのと相性がよくて、の堅いに頼みたいんだって」

「相性がいいかはりませんけど、は堅いですよ」

袋はずっしりしていた。私はけずに、机のいちばんの引きしへしまった。

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事故物件を扱うは、なりとも縁起を気にする。先輩にはこう教わっていた。

こういうの持ち主から預かった付けは、成約するまでけるな。も売れてないのにけたら、おだけ先にもらって仕事を引き受けたことになる。あとで返せと言われても、おだけで済むとは限らない。

ネットに載せて3週、問いわせは1件もなかった。値段は相の6割。写真もるく撮った。それでも所のは、あそこが誰のかっている。方のも、物件報の「告事項あり」を見て、そのまま別の物件へってしまう。

は私の席を通るたびに聞いてきた。

「問いわせ、来た?」

そんなある、ちょうどお昼。席で弁当をかき込んでいたら、スマホが鳴った。女性からで、首吊りがあった、あの物件を見たいという。

「夜8に見せてもらえますか?」

わず目が丸くなった。ので、のつ目の決まりが再された。でも、怖さよりおにつられた。

「えっと……いいですよ! ただ、ここ、事故物件ですよ」

「丈夫です。そういうの、あまり気にしないので」

そのときは、ずいぶん肝の据わったお客さんだな、くらいにしかわなかった。

夜750分。約束の10分に着いた。スマホで「Baby Shark」を流しながら、で1階から5階まで気をつけて回った😆

の持ち主がくなったのは、2階の主寝だった。

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その部の戸をけて気をつけると、壁の部がきくく塗り直されていた。

今の持ち主がく売りたくて、慌てて隠したんだろう。塗り方は雑で、にある血の文字が透けて見えていた。

「全部、おらのせいだ」

写真では見ていたけど、実物を見るのはやっぱり違う。

つ、気になることがあった。塗り直した範囲が、文字に対してやたらと広い。はのすぐくまで塗ってある。

それに、部が塗料のにおいでむせそうだった。塗ったばかりみたいなにおい。は、半に塗り直したと言ってたのに。

そのときは、この持ち主、ずいぶんざっぱに塗ったんだな、としかわなかった。

主寝の戸を閉めて、お客さんを待つために階段をりた。1階の台所を通ったとき、奥のさなトイレから、ぽた、ぽた、との音がした。

入ってきたとき、あそこの蛇は閉まってたはずなんだけど。

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