みかん小説
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"歩けるようになった夫が、最初に捨てたのは私だった" 第15話

てきぱきと、無駄のないプロのきで、夫の体は濡れたアスファルトから引き剥がされ、担架のへと固定されていく。

所の民のカーテンがき、何事かと顔を覗かせるたちの線。 赤灯は回していなくても、夜の宅にまった支援両は、嫌でも目っていた。

「やめろ……見るな……!」 夫は顔を腕で覆い、屈辱に震えた。

美がで駆けつけ、誰にも見られずに部へ運び込み、着替えさせ、湿布を貼り、温かいスープをませてくれるはずだった。 かつてのように、私の無力さをすべてみ込んで、甘やかしてくれるはずだった。

だが、現れたのは、徹な契約と制度に基づいた、赤ののプロたちだった。 夫がに入れたかった「自」の、これが本当の代償だった。 族という無料のセーフティネットを自ら切り捨てたが直面する、ドライで、容赦のない、社会の現実。

「林さん、痛むところを教えてください。病院へ向かいますよ」

救護のドアが、バタンと容赦なく閉ざされた。

同じ刻。

私は自のデスクで、プリントアウトした営業システムの操作マニュアルの最のページをめくり終えていた。

のは、いつのにかりになっていた。 静まり返った部ので、私のスマートフォンの画面が度だけった。

包括支援センターからの、定型のショートメッセージ。

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『対象者・林健介様、関節捻挫および打撲。骨折なし。提携クリニックにて処置、自力歩困難のため、今夜はショートステイ(緊急受け入れ枠)にて晩保護いたします。費用の請求はご本宛に送付されます』

画面を見つめ、私は静かに息を吐いた。

きていた。 怪でもなかった。 それだけで、分だった。

私はメッセージを既読にし、スマホの源を落とした。 引きしの奥から、しいノートを引っ張りす。

表の青い、夫の介護記録だったあのノートとは違う。 文具で自分で選んだ、真っな表のノート。

ペンを握り、最初のページ目に、の付と、しく覚えるべき製品コードをき殴る。

もう、誰かの体調を記録するためにペンを執ることはない。 誰かの歩幅にわせて、自分の歩みを止めることもない。

私は、デスクスタンドのかりので、自分の仕事のためのメモをき続けた。 え切っていた指先には、いつのにか、確かなが戻っていた。

がの杏を黄く染め始めた頃、私の活は、まったく別の触りを持つようになっていた。

「林さん、この福祉用具のデモ、来週の曜に世田の特養に届ける配、完しました!」 「ありがとう。担当のケアマネさん、サイズ気にしてたから、予備のクッションも組同梱しておいて」

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「解です!」

パーテーションで区切られたデスクで、私は受話器を置き、元のタブレットにチェックを入れた。

契約社員として採用されて半。 覚えるべき製品コードはノート冊分になり、クラウドの受発注システムは、今や見なくても指が勝にショートカットキーを叩く。 先、営業アシスタントから「福祉用具専相談員」の専任サポートへと契約が更され、もしだけがった。

会社の与座に振り込まれる、私自の労働の対価。 誰の嫌も伺わず、誰の顔も窺わず、私が私のとを使ってに入れた数万円。 通帳をくたび、え切っていたの裏から、ジワリと血が通うような実があった。

夫が、の夜に坂で転倒してから、ヶが経っていた。

あの夜、域包括支援センターの配で緊急搬送された夫は、首のい捻挫と打撲で全治週と診断された。 骨折は免れたものの、単活を継続するために、夫は自費で民の訪問介護と、週回のデイケアによるリハビリプランを契約せざるを得なくなった。

政の相談員から度だけ、私の携帯に経過報告の話が入った。 『ご主は最初、のヘルパーが部に入るのを酷く嫌がっておられましたが……ご自で調理やゴミしができない現実をに、ようやく支援計画にサインされましたよ。

奥様が毅然と線を引いてくださったおかげで、私たちも介入がしやすくなりました』

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