"歩けるようになった夫が、最初に捨てたのは私だった" 第5話
『分かったら、今夜あの子が帰ってきたら、ちゃんとをげなさい。「私の配慮がりなくてごめんなさい、暮らしの準備も伝うから、たまには帰ってきてね」ってね。男の逃げを塞いじゃダメよ』
方にそれだけ捲してると、義母は話をガチャリと切った。
ツーツーという子音が、の奥にこびりついてれない。 の陽がり注ぐ駅で、私は、え切ったスマートフォンを握りしめたままけなくなっていた。
をき交う々は、スーツを着てに歩くビジネスマンや、楽しそうに笑いう若い母親たちばかりだ。 誰もが、自分ので、自分ののレールのを歩いている。
私だけが。 夫の子を押すためだけにち止まり、気づいたときには、自分の乗るべき列を全て見送ってしまっていた。
夕暮れ、自宅のマンションに戻ると、リビングのにはすでにつの段ボール箱が積まれていた。
夫が買ってきたものだ。 け放たれたクローゼットから、夫は自分のスーツやワイシャツを無造作に取りし、箱のに詰め込んでいた。
「……帰ってたのか」
夫は私を瞥しただけで、作業のを止めない。
「リハビリセンターへってきたわ」
私の言葉に、夫の背がピクリとねた。 だが、振り向きはしなかった。
「佐藤先に会った。
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あの『関与除申請』、見たわ」
静まり返った部に、ガムテープを引きす乾いた破裂音が響く。 夫は元を見つめたまま、く言った。
「そうか。見たなら話がい」
「ヶから、計画してたのね。私が毎、あなたの脚の筋肉量を記録して、しでも数値ががったら緒にんでたあの頃から……あなたは、私を追いす算段をしてたの?」
夫はテープを段ボールに貼り付けると、ようやくちがり、私に向き直った。 その顔には、罪悪のなど微もなかった。 あるのは、追い詰められた特の、逆ギレにい居直りだった。
「追いすんじゃない。俺がていくんだ。言葉をすり替えるな」
「同じよ! 私を蚊帳のに置いて、でコソコソ続きして……どうして言、相談してくれなかったの!? 『で暮らしてみたい』って、どうして真っ直ぐ言ってくれなかったのよ!」
「言ったらおが反対するに決まってるからだろ!!」
夫の号が、リビングの壁を震わせた。 事故以来、聞いたこともない声だった。
「おはいつだってそうだった! 『健介さん、それは無理』『健介さん、危ないから私がやる』『健介さん、まだい』! 俺が何かつでも自分でやろうとするたびに、おは親切な顔をして俺のから全部奪い取った!」
「私は、あなたの全をって……!」
「ののことを覚えてるか!?」
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夫が目を血らせて、歩踏みしてきた。
「俺がで、駅先のまでに乗ってこうとしたのことだよ! お、どうした!? 俺がいないのに気づいて警察に話して、駅のホームまで血相変えてってきて、乗客全員ので泣き叫んだだろ! 『何考えてるの! てなくなったらどうするの!』ってな!」
あのの記憶が、鮮烈に蘇る。 仕事から帰ると、夫の子がなかった。 携帯も繋がらず、事故に遭ったのではないかときたがしなくて、半狂乱で所を探し回った。 駅のベンチで、で文庫本を抱えて座っていた夫を見つけた瞬、腰が抜けるほど堵して、涙が止まらなかった。
「あの、周りの奴らが俺をどう見てたとう?」 夫の唇が、屈辱に歪んでいた。
「『いい歳したが、嫁に鳴られて泣かれてる』って、れみの目で見てたんだよ! 俺はただ、自分で本を冊買いたかっただけだ! 自分ので、自分のでに乗って、誰の許も取らずに買い物がしたかっただけなんだよ! それを、おは完膚なきまでに叩き潰した!」
「私は……配だったのよ。もし階段で転落でもしたら、今までのリハビリが全部無駄になるとって……」
「無駄になるのは、おの介護実績だろ!!」
鋭利な刃物が、胸の真んを貫いた。
「おは俺を治したかったんじゃない。俺を完全にコントロールして、『夫を献に支える素らしい妻』っていう物語に酔っ払ってただけだ! 俺はおの操り形じゃない! ペットじゃないんだよ!」