"「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族" 第15話
「誰の顔を窺ってるの?」
私は容赦なく言葉を叩きつけた。
「悠真くんの母親は、お義母さんでも、翔太さんでもない。あなたでしょう。あなたがちがらなければ、あの子のはあの黒い箱のに閉じ込められたままよ」
話の向こうで、美穂が息を呑んだ。 そして、かすかに掠れた声で、こう言った。
「……、退院の診察があるの。翔太さんも、お義母さんも病院に来る。お義姉さん……お願い。ち会って。私、じゃ……また丸め込まれちゃう……」
すがるような声だった。 私は瞬だけ目を閉じ、く息を吐きした。
「わかった。、悠真くんを連れて病院へく。逃げないで、美穂ちゃん」
翌の午。 総病院の産科病棟、面談。
消毒液の匂いが漂う殺景な部に、苦しい沈黙が垂れ込めていた。 テーブルの座には、区役所の子ども庭支援課の担当員・佐伯さんと、保育園の主任保育士の斎藤先が座っている。
その向かいに、やつれ果てた顔で子に乗る美穂。 隣には、腕組みをして苛ちを隠そうともしない夫の翔太。 そして、壁際のパイプ子に浅く腰掛け、落ち着きなく指を鳴らし続ける義母の幸子。
私と直は、しれた座に並んで座っていた。 直は昨夜から言も私と目をわせようとしない。 区役所からの特定記録郵便が自宅に届いた瞬から、怯えたようにを閉ざしていた。
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「……で? 何の用ですか、体」
最初に沈黙を破ったのは、翔太だった。 級そうなスーツの袖を引っ張り、わざとらしく腕計に目を落とす。
「こっちは仕事のを縫って抜けてきてるんです。わざわざ役所のまで呼びして、庭内の些細な揉め事に首を突っ込むなんて、税の無駄遣いじゃないですか?」
「些細な揉め事、ですか」
佐伯相談員が、鏡の奥の鋭い線を翔太に向けた。 机のに、枚の類と、あのつ切りの画用が広げられる。
黒いクレヨンで幾にも塗りつぶされた、鍵のかかった角い箱。 その隙から覗く、青ざめた悠真の顔。
「田翔太様。悠真くんは現、極度の精神危に瀕しています。保育園での言、庭環境の急激な変化、そして親権者による養育の放棄――これらは児童福祉法に照らし、理虐待に該当する能性が極めていと判断いたしました」
『虐待』という言葉がた瞬、翔太の眉がねがった。
「はあ!? 虐待!? 聞きが悪いことを言うな! 俺はただ、妻の産の負担を減らすために、親戚にに預けようとしただけだ! どこが虐待なんだよ!」
「、ではありませんよね」
私が静かにを挟んだ。 翔太がギロリと私を睨みつける。
「直が勝に作成した転園届には、期委託と記されていました。私の承諾もなく、勝に印鑑を押して。
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翔太さん、あなたもそれをっていて会社に『の子を親戚に預けるため育児休業は』と申請したのではないですか?」
翔太の顔から、さっと血の気が引いた。 目が激しく泳ぎ始める。
「そ、それは……効率の問題だろ! 男が育休なんか取ったら、世コースからされるんだよ! 誰がこのの活費を稼ぐとってんだ!」
「けないこと言わないでよ!」
突然、甲い叫び声が部に響いた。 義母の幸子だった。 パイプ子を蹴てるようにしてちがり、佐伯相談員に詰め寄る。
「うちの翔太さんは悪くないわよ! 美穂が目産んで変だから、兄夫婦が助けるのは族として当たりでしょ! 体ね、直のところは子供がいないのよ! 流産して何も寂しいいをしてる嫁に、孫の世話をさせてあげるって言ってんの! 謝されこそすれ、虐待だなんて言われる筋いはないわ!」
「お義母さん、やめてくれ……!」 直が青ざめて止めに入ろうとするが、義母は止まらない。
「何が世体よ! こんな役所のまで連れ込んで、恥を晒して! 全部この嫁が仕組んだことよ! 自分が子供を産めなかった腹いせに、美穂の庭を壊そうとしてるのよ!」
吐き気を催すような暴言が、狭い面談に反響する。 佐伯相談員の元で、ボールペンがカリカリと記録をらせていた。
『親族による配慮を欠く言・母親への過剰な理圧迫』。