"「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族" 第10話
ドアノブを回し、私は迷うことなくへた。 朝のたい空気が、頬をよく引き締めていく。
に乗り込み、舗へ向かう途で、私はスマートフォンをいた。 そして、役所のウェブサイトから、ある窓の直通番号をメモ帳にコピーした。
『子ども庭支援課・域子育て相談窓』
もし、今で夫が音をげ、義母が再び暴挙にるようなら、迷わずここへ通報する。 内の恥だの世体だの、そんなぬるい配慮はすべて焼き捨てる。
分。 舗の通用でタイムカードを切った瞬、スマートフォンがポケットので激しく振を始めた。
画面を見る。
表示されていたのは、夫の直からの着信だった。 私は画面を見つめたまま、通話ボタンには触れず、マナーモードのスイッチを静かにスライドさせた。
スマートフォンのバイブレーションが、のポケットの奥で蜂のように唸り続けていた。
午分。 のドラッグストア。 蛍灯のいので、私は特売の目玉商品であるオムツと洗剤のを組みげていた。
段ボールの角を潰さないよう、指先に力を込める。 そのも、ポケットのの震えは途切れない。 度止まったかとえば、数秒にまた激しく震えす。
分。 納品業者への伝票にサインを終え、バックヤードの隅で画面を瞬だけ確認した。
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夫からの着信、件。 LINEの通バッジは「28」を示していた。
『おい、悠真の体温計どこだよ』 『連絡帳って何くんだよ、朝ごはんのメニューなんからねえよ』 『着替えの巾着袋が見当たらないんだけど?』 『おい! 会社遅刻するだろ! 何で話ないんだよ!』 『真紀! いい加減にしろ!』
スクロールする指先が、議なほどえ切っていた。
。 この男は、自分が脱ぎ散らかした靴がどうやって引きしに戻るのかもらずにきてきたのだ。 朝起きて、テーブルのに湯気のつ噌汁が置かれ、アイロンの当たったワイシャツがハンガーに掛かっていること。 それが「誰かのと労働」のに成りっているという、当たりの事実すら像したことがない。
「……るわけないでしょ」
私は声をさずに呟き、画面を伏せた。
悠真の着替えも、連絡帳も、昨夜のうちにリビングのローテーブルのに分かりやすく並べておいた。 体温計も、ペンのすぐ横に置いてあった。 見ようとしないだけだ。 探そうとすらしていない。 「真紀に聞けば、真紀が全部やってくれる」という甘えの腐臭が、画面越しに漂ってくるようだった。
、のアナウンスが流れた。 私はエプロンを締め直し、自ドアがくと同に笑顔を作って売りへた。 私の仕事はここにある。 誰かの都のいい代わりにされる筋いは、秒たりともない。
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午分。
調剤薬局の受付横で、夕方の混雑ピークを捌いていただった。 内線話が鳴り、レジのパートさんがりでやってきた。
「藤井主任、線です。……ご主様からで、ものすごく興奮されていて、どうしても今すぐ主任をせと……」
申し訳なさそうに眉を寄せるパートさんの表を見て、胃の奥がキリキリと痛んだ。 職の固定話にまでかけてくる。 この男には、周囲への配慮や『恥』という概が本当に抜け落ちているのだ。
「すみません、代わります」
受話器を取り、バックヤードのドアを閉めた。
「もしもし、藤井です」
『お、ふざけんなよ!!』
受話器をからしても、鼓膜を破らんばかりの声が響いた。 呼吸が荒く、で唾をばしている様子がに取るようにわかる。
『何回話したらるんだ! LINEも既読無しやがって! 俺を会社で恥かかせる気か!?』
「仕事よ。職の固定話にかけてくるのはやめて。のスタッフに迷惑です」
『迷惑なのはこっちだ! 今すぐ保育園にけ! 悠真を迎えにけって言ってんだよ!』
「断るわ。朝のメモにいたはずよ。今のお迎えは。引き受けると見栄を切ったあなたが責任を持ちなさい」
『できるわけないだろ!!』
夫が机を激しく叩くような音が、受話器の向こうから聞こえた。
『今、課から急ぎの修正類頼まれたんだよ! 今に役員にすやつだ! これを放りして保育園なんかったら、俺の評価はどうなるんだよ! クビになったらどうすんだ!』