"「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族" 第8話
夫は「なんだよ、面倒くせえな」とさく毒づきながら、缶ビールを本片に寝へと入った。 ドアをきっちりと閉める。
部に入った瞬、夫はベッドの端に乱暴に腰掛け、プシュッとビールのプルタブをけた。
「で? なんなの? 悠真のことなら、おふくろから聞いたぞ。お、おふくろを追い返したらしいな! 警察呼ぶとか脅して、おかしいんじゃないのか!?」
喉を鳴らしてビールを煽る夫を、私はったまま見ろした。 鳴る気力すら湧かなかった。 ただ、この男の底の浅さに、背筋が凍るようないだった。
「直。斎の机のに置いてあった類、見たわよ」
夫の喉仏が、ピクリと止まった。
「……類?」
「悠真くんの転園届と、送迎代の承諾。私の名で、私の認め印が勝に押してあったわね」
夫は目を泳がせ、缶を握るに力を込めた。 だが、すぐにき直ったようにで笑った。
「なんだ、もう見たのか。だったら話がいや。そういうことだから、から悠真の朝の送迎、頼むな。俺は朝礼があるから無理だし」
「断るわ」
文字で切り捨てた。 夫の顔から、ら笑いが消えた。
「……は? 断るって、お、分かって言ってんの?」
「が分からないのはあなたよ。私はあの類を区役所に提することを許していない。勝に名をいた私文偽造よ」
「げさなんだよ!」
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夫がベッドからちがり、声を荒らげた。
「族ので名代したくらいで偽造だの何だの騒ぐな! 美穂が変なに、ちょっと協力するだけの話だろ! なんでそうやって角をてるんだよ!」
「ちょっとの協力?」
私はポケットから、枚のメモ用を取りして夫の胸元へ突きつけた。 今、仕事のにき殴った現実のスケジュール表だ。
「これを見なさい」
「……何だよ、これ」
「私の勤務表よ。番のは朝にをる。遅番のは夜までにいる。もセールの応援で現をれられない。悠真くんの保育園は、延を使ってもまでよ。誰が朝送り届けるの? 誰がに迎えにくの? 晩ご飯は? お呂は? をしたの呼びしは、誰が対応するの?」
夫はメモをチラリと見ただけで、鬱陶しそうに線を逸らした。
「だから……できる範囲でやればいいだろ。おが遅番のは、総菜でも買ってべさせればいいし――」
「をして園から話がかかってきたら、誰が仕事を抜けるの?」
「それは……おの方が融通利くだろ。ドラッグストアのパートみたいなもんなんだから――」
「私は正社員の販売主任よ!」
私の声が、寝の壁を震わせた。 夫がビクッと肩をねさせる。
「勤めて、やっと現を任されるになったの! パートじゃない! 私の料がなかったら、このマンションのローンだって払えないでしょうが!」
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「な、何も仕事辞めろとは言ってないだろ! ちょっとシフトを減らしてもらって、パートに切り替えるとか――」
「なんで美穂ちゃんの子供のために、私がキャリアを捨ててパートにならなきゃいけないの!?」
息が詰まりそうだった。 この男にとって、妻の仕事など、いつでも都よく縮できる「暇つぶし」程度にしか見えていなかったのだ。
「翔太さんはどうなの? あのは正社員だから抜けれなくて、私は正社員でも仕事を譲れって、どういう理屈!?」
「翔太くんはの黒柱だろ! 今、昇試験で事な期なんだよ! 男のキャリアに傷がついたらどうすんだ!」
「私のキャリアには傷がついてもいいって言うのね」
静かに、事実だけを突き刺した。 夫は言葉に詰まり、顔を真っ赤にしてごもった。
「そ、そんな極論言ってないだろ! 体、おだって本当は子供が欲しかったはずだ! 流産して何も落ち込んでただろ! 悠真を育てられるなら、おにとっても良いリハビリになるとって――」
「リハビリ?」
を疑った。 の子供を、流産の「リハビリ」?
「あなた……自分が何を言ってるのか、本当に分かってるの?」
寒気がした。 目のにいる男が、完全に別のき物に見えた。 、同じベッドで眠り、しみを分かちってきたとっていた夫は、私の絶望を何ひとつ理解していなかったのだ。
「都のいい言葉で誤魔化さないで」
私は吐き捨てるように言った。