みかん小説
本棚

"「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族" 第6話

このは最初から、私の返事など求めていない。 私が反論できないだと、数見し続けてきたのだ。

私は悠真を背に庇い、ちがった。 まっすぐに義母の目を見据える。

「靴を脱いでください。それから、その荷物を今すぐへしてください」

私の声は、自分でも驚くほどく、え切っていた。 義母が眉をねげ、骨に顔を歪める。

「……はあ? あんた、義理の親に向かって何その態度は」

「ここは、私と直のです。あなたが勝に荷物を運び込んでいい所ではありません」

「直がいいって言ったのよ! このの主が承諾したことに、子供も産めない嫁がを挟むんじゃないわよ!」

まただ。 息を吐くように、私の最もい傷を抉ってくる。 けれど、もう涙はなかった。 痛みを通り越して、胸の奥にたい鉄板が嵌め込まれたようだった。

「直が何を約束したのかはりません。ですが、私ののない荷物は、今すぐここからしてください。さないなら、警察を呼びます」

「け、警察!? あんた、正気なの!? 族の荷物を運んできただけで警察呼ぶって、世体がどれだけ悪くなるか分かってんの!?」

「世体を気にしているのは、お義母さん、あなたでしょう」

私は歩も引かなかった。 スマートフォンをポケットから取りし、指を画面にかざす。

「勝にのに押し入り、拒否しているにもかかわらず私物を法に放置しようとしている。

広告

居侵入です。所にどう見られるか、試してみますか?」

義母の目が泳いだ。 『世体』という言葉に、このは何よりもい。 所の主婦仲や親戚ので「派な母親」「優しい祖母」を演じることだけに執着してきただからだ。

「……狂ってるわ、あんた。孫を預かるのがそんなに嫌なの? 血も涙もない鬼嫁ね!」

喚き散らしながらも、義母は舌打ちをして装ケースを引きずり、玄関のへと押しした。 ガチャン、とい音をててドアが閉まる。

鍵をにかけ、チェーンを通した。 からドアを蹴ばすような鈍い音が度だけ響き、やがてざかる音が聞こえた。

静寂が戻った玄関で、私は力なく崩れ落ちそうになる膝を必で支えた。 背で、さなの擦れる音がした。

振り返ると、悠真が壁に背を預け、怯えきった目で見つめていた。

「……おばちゃん、ってる?」

喉の奥がきゅうっと締め付けられた。 私は呼吸をひとつして、膝をつき、悠真の目のさまでしゃがんだ。

「悠真くんにってるんじゃないの。の勝な都で、悠真くんに嘘をついたおばあちゃんにってるの」

震えるさなを握り、ゆっくりと言い聞かせた。

「悠真くんは、捨てられたんじゃない。お母さんは今、病院で赤ちゃんを産んで、懸命頑張ってる。悠真くんのことが好きだから、絶対に会いに来る。

広告

おばちゃんが、約束する」

悠真のきな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。 今度は声をげて、私の胸のに顔を埋めて泣いた。 私はその温かい背を、が涙で濡れるのも構わず、ただ静かにさすり続けた。

悠真に温かいココアをませ、リビングで録画のアニメを見せているに、私は洗面所にこもった。 蛇をひねり、たいで何度も顔を洗う。 鏡に映った自分の顔は酷く青ざめていたが、瞳の奥だけは異常なほど冴え返っていた。

スマートフォンを取りし、画面をく。 夫ではなく、別の番号を探した。

美穂。 今朝、第子を産したばかりの義妹の番号だった。

産すぐの体に話をかけるのは躊躇われた。 だが、このまま夫と義母の言う「族の」に流されるわけにはいかなかった。 コール音がく鳴り響き、留守番話に切り替わる直、微かに掠れた声が聞こえた。

「……もしもし、お義姉さん?」

病の静けさが伝わってくる、力のない声だった。

「美穂ちゃん。産直にごめんなさい。体、丈夫?」

「あ……うん、なんとか。帝王切だったから、まだ傷が痛くてけなくて……。あの、悠真のこと、本当にごめんなさい。お義母さんから、お義姉さんのに預かってもらってるって聞いて……」

申し訳なさそうに縮こまる声。 私は洗面台の縁を指先で押さえながら、核を突いた。

「美穂ちゃん。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: