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"「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族" 第4話

表に印字されていたのは、区役所のマークだった。

『保育所等転園・委託児童に関する現況届』 『送迎代および緊急連絡先指定承諾』

類の所定の欄には、几帳面な夫の跡で、すでに文字がびっしりと埋められていた。

児童名:田悠真 保護者名:田翔太 委託理由:母親の産休養および育児負担過による養育委託(期定) 受託者(同居):藤井直・藤井真紀

そして。 受託者承諾の欄。

私の名が、夫の字で勝にかれていた。

『藤井真紀』

その横に押されていたのは、見覚えのある朱肉の跡。 玄関の印鑑入れに置いてあった、がの認め印だった。

「あ……ああ……」

喉の奥から、乾いた掠れ声が漏れた。

昨今、いついた話ではない。 美穂の臨に向けて、義母と夫、そして義妹夫婦ので、何週もから着々と計画されていたのだ。

私の仕事も。 私の活も。 私が流産の傷を癒すために守ってきたこの部も。 すべてを勝に奪い、踏みにじる段取りが、私のらないところで完璧にえられていた。

パチン、と背でさな音がした。

振り返ると、廊の暗がりのに、クマのぬいぐるみを抱きしめた悠真がっていた。 眠気で半分閉じた目を擦りながら、恐竜の布団を見つめている。

「……おばちゃん、そのお部、僕の?」

その無垢な瞳に宿る怯えと、罪悪。

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歳の子に、この部がどうやって作られたのかが分かるはずもない。 ただ「が用した自分の居所」を、恐る恐る確認しているだけだ。

私はファイルの類をぎゅっと握りつぶした。 の端がくしゃりと音をてて折れる。

「……ううん」

私は喉の奥の震えを必に抑え込み、角を無理やり引きげた。

「ここはね、おばちゃんのお部だよ。今はリビングにお布団敷いて、緒に寝ようね」

悠真を抱きげ、リビングへと戻る。 腕ののさな体温が、ずっしりとかった。

この子は悪くない。 この子は、たちの勝なエゴの犠牲者だ。 けれど。 だからといって、私が全てを差しして代わりに焼き尽くされる理由にはならない。

その夜、悠真が寝息をて始めたあと、私は暗のでスマートフォンの画面を見つめていた。 夫への着信履歴は、もう残さなかった。

翌朝。午分。

ドンドンドン、と玄関のドアを叩く暴力な音が、静まり返ったリビングに響き渡った。

インターホンを鳴らすにドアを叩く。 この無作法なやり方をするを、私はしからない。

隣で寝ていた悠真が、びくっと体を震わせてび起きた。 怯えた目で玄関の方を見つめている。

「丈夫よ、悠真くん。ここにいてね」

私は寝から羽織りものを枚引っ掛け、玄関へと向かった。

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鍵をけてドアをわずかに引いた瞬、力任せに押しけられた。

「おはよう! 鍵くらいくけなさいよ、いんだから!」

現れたのは、義母の幸子だった。 両にはパンパンに膨らんだ型のプラスチック製装ケース。 元には、段ボール箱がつ積みげられていた。

「お義母さん……何ですか、これ」

「何ですかじゃないわよ。悠真の物のと、保育園の着替えセット。絵本も全部持ってきたわ。から運ぶの伝いなさいよ、まだトランクに半分残ってるんだから」

息を切らしながら、のまま玄関框へ装ケースをどんと置いた。

ケースの隙から、悠真のお気に入りのトーマスの靴や、褪せたパジャマが覗いていた。 それは数分の荷物などでは断然ない。 らかに、活の拠点を丸ごと移すための分量だった。

「待ってください」

私は玄関の真んにち、義母のくを塞いだ。

「私は悠真くんを期で預かるなんて、言も承諾していません」

義母のきがピタリと止まった。 ゆっくりと顔をげた義母の目が、細く吊りがっていく。

「……あんた、朝から何寝ぼけたこと言ってんの?」

「寝ぼけていません。昨夜、直から聞きました。半もも預かる計画だそうですね。私には仕事があります。平の朝夕の送迎も、常の養育も、引き受けることはできません」

はっきりと、区切るように告げた。 すると義母は、呆れたようにきなため息をつき、わざとらしく両を広げてみせた。

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