"「子どもがいないから」と義妹の長男を譲ろうとする義家族" 第3話
半。 。
「美穂ちゃん、目だろ? 翔太くんも今、昇試験の準備でめちゃくちゃ忙しいんだよ。児と歳児をワンオペで回すなんて無理に決まってるだろ。共倒れになったらどうすんだよ」
「だからって、なんでうちに預けるのよ!? 美穂ちゃんの実――お義母さんのところがあるじゃない!」
「おふくろは腰が悪いだろ! 歳児の体力についていけるわけないじゃないか! その点、うちは子供がいないし、部も余ってるだろ!」
その言葉が、鼓膜を突き破って脳髄を殴りつけた。
『うちは子供がいないし』
まるで、使っていない空きを物置にするかのような振りだった。
「直、私には仕事があるの。ドラッグストアの主任なのよ。番も遅番もあるの。毎に保育園へ迎えにって、ご飯べさせて、お呂入れて、寝かしつけるのを、誰がやるとって言ってるの!?」
「俺も伝うよ!」
即座に返ってきたその言葉の軽さに、吐き気がした。
「伝う? あなた、自分の脱いだ靴すら洗濯に入れたことないじゃない!」
「これからやるって言ってるだろ! なんでそうやって最初から否定から入るんだよ! 真紀だって、悠真のことがってたじゃないか。本当は子供が欲しかったんだろ? 悠真が来てくれたら、のもるくなるし、真紀だって嬉しいとって――」
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「ふざけないで!!」
わず叫んでいた。 夜の宅の空気に、自分の鳴のような声が吸い込まれていく。
「私の流産を……私たちのしみを、あんたたちの都のいいゴミ箱に使わないで!!」
息が乱れ、肩が激しくした。 話の向こうで、夫が息を呑む気配がした。 だが、返ってきたのは反省の言葉ではなかった。
「……言い方があるだろ。族が困ってるに、なんだよその態度は。とにかく、今夜はもう帰れないから。翔太くんと泊まり込みでち会うから、悠真のことよろしくな」
プツン、と通話が切られた。
スマートフォンの画面が暗転する。 え切った液晶に、鬼のような形相をした自分の顔が映っていた。
私は震えるで顔を覆い、しゃがみ込んだ。 涙はなかった。 ただ、体の芯から、マグマのようなりと絶望がせりがってきていた。
悠真にうどんをべさせ、お呂に入れ、私の着古した柔らかいTシャツを着せた。 お腹がいっぱいになると、歳の体は急速に眠気に支配されていくようだった。 リビングのソファで、舟を漕ぐようにを揺らしている。
「悠真くん、寝ようか。今は私のベッドで緒に――」
そう言いかけて、ふとち止まった。
寝の奥にある、畳の。 普段は私がアロマを焚いたり、趣のパッチワークや読をしたり、仕事のシフト表を作ったりするための、私だけのさなプライベート空。
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度の流産のあと、赤ちゃんの遺品を理し、自分のをて直すためにしずつ作りげた、私にとっての聖域だった。
夫は普段、その部には寄り付きもしない。
悠真に掛ける予備のタオルケットを取りにこうと、その部のドアノブにをかけた。
ガチャリ、と扉をけた瞬。
私はそのに縫い止められた。
「……え?」
を突いたのは、使い慣れたラベンダーのアロマの匂いではなかった。 品のウレタンと、っぽい段ボールの匂い。
部のかりをつける。 スイッチのパチンという音が、異様にきく響いた。
界にび込んできた景に、息が止まった。
私のソーイングテーブルが、部の隅へ乱暴に追いやられていた。 に置いてあった作りかけのキルトや裁縫箱は、無造作に段ボール箱へ詰め込まれ、に押し込められている。
そして、部の央。 私がいつも座っていたラグのに、見慣れないものが鎮座していた。
青い恐竜の柄がプリントされた、真しいジュニア用の布団セット。 枕元には、まだ箱からしたばかりのクマの形のナイトライト。 壁際のカゴには、幼児向けの絵本やおもちゃが数点、然と並べられていた。
まるで、最初からそこが「子供部」であったかのように。
「……なに、これ」
声が震えていた。 部の隅に追いやられた私の机の端に、枚の透なクリアファイルが置かれていた。
吸い寄せられるようにを踏み入れ、そのファイルをにとる。