みかん小説
本棚

"「ここは新妻の家」と笑う義母へ突きつけた、青い契約書" 第10話

と説を受けていた。 だが、この老婆にとってはそんな医学事実などどうでもいいのだ。 ただ、私を傷つけ、自分の都のいい位置に縛り付けておくための言葉なら何でもよかった。

「だからね、妥協案をしてあげてるのよ」 義母はを乗りし、慈でも与えるような調で言った。

「美穂さんが実から戻るまでの、あんたはこのに残っていいわ。その代わり、浩司の事を作り、洗濯をし、部を綺麗に掃除なさい。あんた、どうせ仕事しか能がないんだから、事くらい完璧にこなして佐藤に償いなさいよ。 子供がまれて美穂さんが戻ってきたら、あんたは実に帰ればいい。そのは、切れとしてしばかりのおを浩司から渡してあげるよう、私が取り計らってあげるから」

……無料の政婦。 妻の座を奪われ、の子供を産む準備をさせられ、その、夫のの回りの世話をタダで押し付けられる。 それが、このたちの描いた「妥協案」だった。

りを通り越して、失笑が漏れた。 「ふふ……あはは」

「な、何がおかしいのよ! が親切に居所を残してあげようって言ってるのに!」

「お義母さん」 私は拾い集めた真珠の粒をポケットにしまい、テーブルのの契約を指先でトントンと叩いた。

「私の言葉、聞こえていませんでしたか? この部の契約者は私です。

広告

浩司でも、あなたでもない。私が賃を払い、私が借りている部です」

「だから何よ! 夫婦なんだから夫がむ権利があるでしょうが! 浩司を追いす気なの!? 自分の夫をに迷わせる気!?」

「ええ、その通りです」

私の即答に、義母の顔が引き攣った。

「浩司には、今すぐこの部からてってもらいます。もちろん、あなたにも」

「な……な、なんですって……!? 親に向かって何てことを……!」

「親? 私の母の形見をゴミ箱に捨てたあなたが、どので親を名乗るんですか?」

私はビジネスバッグから、姉が用してくれたもう通の類を取りした。 『分居通』および『私物品搬求』。 姉の事務所が作成した、法な効力を持つ公面だった。

「夫・佐藤浩司に対し、本付で正式に別居を通告します。この部に残されている浩司の私物は、週以内にすべて撤してください。ち会いは弁護士同伴のもとでいます。無断でのち入りは、居侵入として警察に通報します」

「ゆ、由美さん! あんた本気でそんなこと……!」

「本気です。それから、お義母さん。あなた、浩司が私を養っていたとい込んでいるようですが、現実を教えてあげます」

私は元のタブレットをき、過分の計簿データとの入記録を画面に表示させた。 それを義母の目のに突きつける。

広告

画面には、赤と黒の数字が然と並んでいた。

「見てください。このマンションの賃、万円。共益費、万千円。費、平均万円。通信費や費をわせれば、毎の基本活費だけで万円以かかっています」

「そ、それがどうしたのよ! 浩司が払ってたんでしょうが!」

「浩司が私の座に振り込んでいたのは、によってまちまちですが、平均して『万円』です」

義母の目が丸くなった。 「ご……万……?」

「ええ。万円。賃の分のにも満たない額です。ここに至っては、『投資に回す』『会社の交際費でて替えている』と言い訳をして、円も振り込まれないが半分以ありました。分の毎万円以は、すべて私の料から補填していました」

「う、嘘よ……! 浩司の料はもっといはずよ! 毎ちゃんと稼いで……」

「浩司の料細も、データで保してありますよ」 姉がややかに補した。 「取りで万円。そこから自分の遣いとのローン、そしてへの貢ぎ物を引いたら、に残るおなんてあるはずがないでしょう」

義母の顔から、みるみるうちに血の毛が引いていく。

「それだけではありません」 私はタブレットの画面をスクロールした。 「浩司が使っていたクレジットカード。あれは私のゴールドカードに紐づけられた『族カード』です。

浩司自のカードは、過の延滞で限度額が極端にく設定されていたから、私のカードを使わせていたんです」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: