"「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔" 第13話
弁護士は老鏡を押しげ、類を枚枚、丹に確認していった。
「……素らしいわ、由美さん。ここまで完璧に証資料が揃っているケースは、うちでも滅にありませんよ」
弁護士は顔をげ、頼もしい笑みを浮かべた。
「領収の署名、裏アカウントの画像、そして何よりこの音声データ。夫側の貞為の証としては、これで100点満点です。相女性の奈緒に対しても、過失ではなく故による法為として、満額の慰謝料を請求できます」
「ありがとうございます。先、加減は切です」
私の言葉に、弁護士は力く頷いた。
「ええ、分かっています。まず本付で、夫・佐藤夫宛てに、貞為に基づく婚姻関係破綻を理由とした『婚調の申て予告』および『財産分与に伴う共財産の保全通』を内容証で発送します。これにより、彼が自宅の売却や座からの勝な資移をうことは法に制限されます」
ペンをらせる弁護士の元を、私は静かに見つめていた。
「そしてもう通。相女性・奈緒宛てに、貞為に対する損害賠償請求を発送します。請求額は、相の最額である300万円。回答期限は週とします」
「彼女は、夫が既婚者であることをっていたはずです」
「もちろん、その点も文面に盛り込みます。
広告
義母と同席して会していたという録音の証言がありますから、『既婚者とはらなかった』という言い逃れは法廷で切通用しません」
事務な続きが、徹なスピードでんでいく。 のぶつかりいではない。 黒の類と、法律という名の絶対なルールに基づいた、械な清算。
「由美さん、腹をくくってくださいね」
弁護士が類をファイルにまとめながら、静かに私を見つめた。
「内容証が届けば、相は必ずパニックを起こします。逆してあなたに直接接触を図ろうとする能性が非常にい。絶対に、で会ってはいけませんよ」
「承しています。会社の緊急連絡先と、滞先のホテルは先にだけお伝えしておきます」
法律事務所をると、午のたいビルが頬を打った。 空を見げる。 分いの隙から、細い陽が差していた。
元をれた類が、今、あの男と女の元へと向かっている。 彼らが自分たちの欲望のままに踏みにじってきたもののさを、るが来たのだ。
それからの、曜の夜。
私は会社での仕事を終え、今週から仮契約した期賃貸のワンルームマンションで、で簡単な夕を済ませていた。 周囲には、必最限の具と、けていないダンボールがつ。 テレビも置いていない静かな部で、私は湯をんでいた。
広告
午1142分。
静まり返った夜の帳を切り裂くように、部のインターホンがけたたましく鳴り響いた。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン――。
度や度ではない。 狂ったように、ボタンを連打する音。
臓が、トクンと嫌なね方をした。
この部の所は、弁護士と、私の直属の司にしか教えていないはずだった。 だが、その疑問はすぐに氷解した。
ドンドン、バンバン!
い鉄のドアを、拳で力任せに殴りつける激しい音が、廊に反響した。
「由美! けろ! 由美ッ!!」
濁った、掠れきった声。 夫だった。
私の勤め先のフロアで聞きをてたのか、あるいは実の探偵じみた執で突き止めたのか。 ドアのにいる男の息遣いは荒く、完全に正気を失っているのが、属の扉越しにもありありと伝わってきた。
「けろよ! 話を聞け! おい!」
ガチャン、ガチャンとドアノブが乱暴にされる。 私は息を潜め、スマートフォンの録音ボタンを押しながら、ゆっくりと玄関のへ歩み寄った。
ドアチェーンがしっかりと掛かっていることを確認し、インターホンの通話ボタンを押す。
「……警察を呼びますよ」
私のたい言に、の物音がピタリと止まった。 数秒の沈黙の、インターホンのスピーカーから漏れ聞こえてきたのは、泣き声の混じった、すがりつくような夫の絶叫だった。
「由美……頼む、助けてくれ! 奈緒からLINEも話もブロックされたんだよ!」