"「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔" 第11話
「……断ります」
私の声は、の朝の氷のように透き通っていた。
「な……んだと……?」
夫が呆然と顔をげた。
「法に、夫婦別産制という規定があります。婚姻に築いた個の特財産、および配偶者の個な法為によってじた債務について、配偶者に返済の義務は切ありません」
「お……! 法律の話なんかしてんじゃねえよ!」
夫がを叩いて吠えた。
「俺が破滅してもいいのか!? 俺が会社をクビになったら、おだってに迷うんだぞ!」
「迷いません」
私はたく言い放った。
「私はフルタイムの正社員です。自分の料で、自分の社会保険を払い、自分の力できていけます。に迷うのは、私の財布に寄し、ので見栄を張ってきた、あなたたちの方です」
「ゆ、由美……! あんた、親に向かって、夫に向かって何てを利くの!」
義母がヒステリックに叫びながら掴みかかろうとしてきた。 私はその腕を、鋭く払い落とした。
バシッ、と皮膚が擦れる乾いた音が響く。
「触らないでください」
私の底りするような線に圧されたのか、義母は息を呑み、わず歩ずさりした。
「これ以、私に銭の求をするなら、今こので警察を呼びます。夫による恐未遂、および義母による罪として、これまでの会話の録音データを全て提します」
私はポケットからスマートフォンを取りし、画面を義母の先に突きつけた。
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点滅する赤い録音マーク。 先ほどの義母の「男の甲斐性」「座でのとの会」「妻が肩代わりしろ」という発言が、波形となって刻まれている。
義母の顔から、みるみるうちに血の気が引いていった。
「あ……あんた、録音してたの……?」
「ええ。最初から全て記録しています。翔太さんにも、美さんにも、このデータを共します」
「や、やめろ……! 由美、やめてくれ!」
夫がいつくばったまま叫ぶ声を背に、私は寝へと向かった。 内側から鍵をかけ、クローゼットをける。
型のスーツケースを引きずりし、に広げた。
持ってるものは、最初から決まっていた。 実印、印、私名義の通帳、帳、パスポート、会社関係の類。 それから、10の計簿のノートと、夫の審な履歴をまとめたUSBメモリ。 そして、先ほど夫の着から回収した、箱根の領収との署名が入ったカードの控え。
着替えを数着、無造作に詰め込む。 夫が買い与えてくれたものなど何つない。 すべて、私が自分で働いたで買ったばかりだった。
荷造りを終えるまで、わずか15分。
ドアをけると、リビングでは義母と夫が肩を寄せい、お互いを罵りっていた。 「あんたの育て方が悪い」「おがだらしないからだ」と、醜い責任の擦り付けい。
私はスーツケースのハンドルを握り、玄関へと向かった。
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「お、おい! どこへくんだよ!」
夫が慌てて追いかけてくる。
「実へ帰るのか!? 今てったら、絶対に許さないからな! 婚届を叩きつけてやるぞ!」
最のはったり。 男のちっぽけなプライドが絞りした、あまりにも滑稽な脅し文句。
私は靴を履き、ドアノブにをかけたところで、ゆっくりと振り返った。
「ええ、ぜひそうしてください」
私は、微笑んですらいなかったとう。 ただ、完全にを見る目で、夫を真っ直ぐに見据えた。
「週けに、私の代理弁護士から連絡がいきます。度と、私の個携帯には連絡してこないでください」
ガチャリ、と鍵がき、たいのが吹き込んできた。
背から義母の「由美! 戻りなさい! 逃げる気かい!」という絶叫が響いたが、私は度も振り返らず、い鉄の扉を静かに、そして確実に閉ざした。
マンションをた私は、そのままタクシーを拾い、あらかじめ配していたビジネスホテルにチェックインした。
ベッドのにスーツケースを置き、コートを脱ぐ。 静寂。 あの号とヒステリーに満ちた空から切りされただけで、胸の奥のつかえがしだけ軽くなった気がした。
私はデスクに座り、スマートフォンを取りした。 発信先は、美。
呼びし音が3回鳴ったところで、話が繋がった。
「……もしもし、お義姉さん」
美の声は、泣き腫らしたあとのように枯れ果てていた。
隣からは、くため息をつく翔太さんの気配配が伝わってくる。