"「妹の祝いだ50万出せ」と言った夫の裏の顔" 第9話
カシャ、カシャと静かな部にシャッター音が響く。
「な、なによそれ! あんた何を撮ってるのよ!」
義母が私の元を覗き込もうと、りで寄ってきた。
私は逃げることも隠すこともせず、その領収をテーブルの央に、バン、と叩きつけるように置いた。
「これを見てください、お義母さん」
私の声は、く、たく、リビングの壁を震わせた。
「夫さんが美ちゃんのお祝いを何に使ったか、ここに全ていてあります。箱根の級旅館、泊24万円。同伴者の名は、奈緒。残りの15万円は、その女性のカルティエの計代です」
義母の線が、テーブルのの領収に落ちた。
『箱根羅温泉』 『238,000円』 『 奈緒』
黒いインクの文字が、蛍灯のでくっきりと浮かびがっている。
私は義母の顔を見据えた。 さすがの義母も、ここまで々しい証拠を突きつけられれば、息子の裏切りに言葉を失うだろう。 娘のれののを奪ってに貢いでいたという事実に、母親として恥じ入るだろう。
そうっていた。
だが、義母の反応は、私の像の遥か斜めをくものだった。
領収を見た義母の顔から、揺のは瞬で消えった。 驚きも、落胆も、息子の貞に対する憤りも、そこには微もなかった。
義母はふん、とくを鳴らした。 そして、信じられないことに、ら笑いすら浮かべながら私を睨みつけてきたのだ。
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「……それがどうしたって言うのよ」
「……は?」
私の喉から、乾いた息が漏れた。
義母は腕を組み、顎を突きして、勝ち誇ったように言い放った。
「男がで若い女と遊ぶくらいの甲斐性、あって当然でしょうが! なに目くじらてて、夫の持ち物をコソコソ漁ってんのよ! 浅ましい嫁ね!」
空気が、完全に凍結した。
の奥で、キーンという属音が鳴り響く。 このは今、何を言った?
「お義母さん……今、なんて言いました?」
「聞こえなかったの!? 男の甲斐性よ! 夫は営業の課なのよ! で綺麗なお姉ちゃんと遊んで、いいカッコしたいだってあるわよ! 奈緒さんはね、あんたみたいにのない女と違って、気が利いてらしいなんだから!」
……奈緒さんは?
私の臓が、ドクンと嫌な音をててねがった。
義母のから、あまりにも自然に滑り落ちたその名。
奈緒というのを。 義母は今、初めてったのではない。
最初から、全てっていたのだ。
「……奈緒さんは、って言いましたか」
私の唇からこぼれた問いに、義母は瞬だけハッとしたように息を呑んだ。 だが、次の瞬にはき直ったように顎を突きし、忌々しそうにを鳴らした。
「そうよ! 隠すことなんかないわ! 私は半からってたわよ!」
を疑う言葉が、まるで当然の権利のようにリビングに響き渡った。
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「夫からちゃんと紹介されたわよ。座のいいおでご馳してくれてね、あんたみたいにのない嫁と違って、私に価なストールまでプレゼントしてくれたわ。気が利いて、美で、私のことを本当の母親みたいにててくれる素らしいよ!」
の芯が、スーッとたくなっていく。
半。 夫が「きなプロジェクトのリーダーを任されたから、帰りが遅くなる」と誇らしげに語り、毎計に入れる活費をさらに削り始めた期だった。 私がで費を切り詰め、スーパーの見切り品にを伸ばしていた、夫は母親を連れてと座で会し、母親は息子の裏切りを笑顔で公認していたのだ。
「あんたがね、普段から夫をてないからよ! 会社で疲れて帰ってきても、笑顔つ見せないで帳簿ばかり睨んで! 男がに癒しを求めて何が悪いのよ! 母親なら、息子の方をするのが当たりでしょうが!」
義母は唾をばしながら、指先を私の眉に突きつけてきた。
「美だってってるわよ! に駅で夫と奈緒さんが腕組んで歩いてるのを見かけたって言ってたわ! 『お兄ちゃんの会社の同僚よ、仕事の相談に乗ってもらってるの』って言ったら、美も納得してたわよ!」
美まで。 あの義妹も、々づいていたのだ。 族全員が、夫の倫をりながら、あるいはらぬふりをしながら、私だけを蚊帳のに置いて笑っていた。