"「中絶して逃げた」元妻が連れていた、七歳の双子" 第16話
だが、の曜、事態は最悪の形で暗転した。
午。 私が勤める械部品メーカーのシステム統括部で、規模な基幹系サーバーのダウンが発した。 全国のからの荷ラインが完全にストップし、オフィス内は号とキーボードを叩く音でパニックに陥った。
「佐藤課代理! 名古のラインが止まりました!」 「クライアントの専務から直です! の午までに代替案をさなければ契約解除だと!」
私はシステムログを睨みつけながら、指先をキーボードのでらせた。 徹夜の復旧作業。 フロアの空気は淀み、レッドブルの空き缶がデスクのに積みなっていく。
午。 ようやくバグの所を突き止め、仮復旧のパッチを当て終えた。 だが、部が血った目で私の肩を掴んだ。
「佐藤、よくやった。だがここからだ。午から役員会で緊急の障害報告会がある。おが作った報告をベースに、再発防止策をプレゼンしてもらうぞ」
私は腕計を見た。
針は、午半を指していた。 学の持久会は、午半スタート。
「……部」 喉が引きつるように鳴った。
「そのプレゼン、副担当のに引き継がせるわけにはいきませんか」
部の表が、信じられないものを見るように凍りついた。
「は……? 佐藤、お、何を言っているんだ? 今期のおの課昇がこの報告にかかっているんだぞ。
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全役員が揃うで穴をけたら、おの社内でのはどうなるか分かっているのか?」
臓が、鐘を打った。
の景が、網膜の裏で鮮烈にフラッシュバックした。
『仕事だから仕方ないだろ』 『今、俺が抜けたらキャリアが終わるんだ』 『母さんの相くらい、おがしてくれよ』
あのも、そうだった。 私はいつだって「仕事」という絶対な免罪符を盾にして、番守るべきから目を背け、逃げしたのだ。 世のため。 世体のため。 会社での自分の居所を守るため。
その結果が、由美がで血を流しながら救急に揺られた、あの初の夜だった。
全の毛穴から、や汗が吹きした。 指先が刻みに震える。
ここで役員会を蹴れば、格は免れないかもしれない。 世からは完全にれ、閑職へ回される能性だってある。 を過ぎた男が、これからので稼ぎせる涯賃が、目に見えて目減りするかもしれない。
だが。
「……申し訳ありません」
私はをげた。 く、と平になるまで。
「どうしても、せない私用があります。報告と定問答は、完璧に仕げてに共しました。全責任は私が取ります。減でも、格でも、どんな処分も受け入れます」
「佐藤ッ! お、正気か?!」
背でり狂う部の声を背で受け止めながら、私はデスクの引きしからコートを引っ張りした。
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度も振り返らなかった。
エレベーターを駆けり、へびす。 夜けのには、混じりのたい霙が吹き荒れていた。
私鉄の各駅にび乗り、吊革をく握りしめた。 徹夜の疲労で界がチカチカと滅する。 霙はいつのにか、粒の濡れへと変わっていた。
午分。 最寄り駅の改札を抜け、私はのをった。 スーツの肩がぐっしょりと分を吸い、革靴のにたいが染み込んでくる。 息が切れ、肺が氷を吸い込んだように痛む。
学のに着いたのは、午分だった。
庭のトラックには、すでに勢の保護者が集まり、とりどりの傘を広げていた。 吐く息がくちる、体操着のにウインドブレーカーを羽織った子供たちが、スタート位置に列し始めていた。
私は指示された通り、保護者エリアの最列、舎の非常階段のにを隠した。 息を殺し、たいコンクリートの壁に背を預ける。
ピストルの乾いた音が、の空に響き渡った。
「位置について――スタート!」
歓声が斉に湧きがる。 子供たちのさな群れが、の混じるトラックをりした。
目を凝らす。 者の真んあたり、し猫背で、必に腕を振っているさな背が見えた。 拓だ。
そのろ、しれた位置を、いニットを被った美咲が、顔を真っ赤にして懸命にをにしていた。