"「中絶して逃げた」元妻が連れていた、七歳の双子" 第15話
役所の窓へ向かい、区民課のカウンターで『認届』を提した。 戸籍係の職員が無質に類を照し、端末のキーボードをカタカタと叩く。
週、に入れた戸籍謄本。 私の欄のに、さく印字されていた。
『男・拓を認』 『女・美咲を認』
ただの。 インクにして数ミリの文字。 そのを刻むために、私はを空費し、あのたちに数え切れない夜の涙をいたのだ。
実を売却した資は、母のカードローンの完済と、由美への過分の未払い養育費の信託座への供託で、ほとんどが消えた。 残ったわずかな元で、私は由美と子供たちが暮らすアパートから駅れた、築の駅先のワンルームを借りた。
畳半のフローリングに、折りたたみベッドとさなテーブル。 以の実の広さが嘘のように狭い。 だが、線の饐えた匂いも、母の見栄と欲の気配も、ここには何ひとつなかった。
に度。 曜の午からだけ。 駅のショッピングモールのオープンテラスで、子供たちと「面会交流」をうことが許された。
由美からの条件は厳格だった。 『絶対にきりにしないこと』。 『由美が必ず同席すること』。 そして、『あの子たちが嫌がったら、そので即座に解散すること』。
最初のヶ、拓は私と度も目をわせなかった。
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テラス席のプラスチックの子にく腰掛け、両を膝ので固く結び、私が差しすオレンジジュースのストローにすら触れようとしなかった。 美咲は、由美のカーディガンの背にすっぽりと隠れ、私の姿が見えるだけで呼吸を乱して怯えた。
「美咲ちゃん、これ……絵本、読まないかい」
絞りすように声をかけると、美咲はさな鳴をげて由美の腰にしがみついた。 由美が静かに私の元を制する。
「佐藤さん、やめてください」
のようにたい「佐藤さん」という響き。 喉の奥がカラカラに渇いた。
「すみません」 私は差し伸べたを引っ込め、膝ので握りしめた。
「急にづきすぎました」
「あの子たちにとって、あなたはしなかったです」 由美は、めた茶のカップを両で包みながら、淡々と言った。
「いきなり現れたの男のが、自分たちに何かを求めてくる。それだけで、この子たちには恐怖なんです。……自分のペースを押し付けないでください」
「わかっています。本当に、すみません」
私はそれ以、子供たちに話しかけるのをやめた。 ただ、分おきに「寒くないかい」「喉は渇いていないかい」と、由美を通して確認するだけだった。 会話は成しない。 が過ぎると、由美は正確にスマホのタイマーを止め、ちがる。
「です」
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「……ありがとう。来てくれて」
私が々とをげると、由美は何も言わずに子供たちのを引いて歩きした。 振り返った拓が、私の姿をくからじっと見つめていた。 その瞳の奥にあったのは、激しいりから、困惑へとしだけが移り変わっていた。
半が過ぎた。 季節は巡り、の刺すような気がを覆い始めていた。
私の活は、極限まで単調だった。 会社と、え切ったワンルームのアパートを往復するだけ。 与の分のは公正証に基づき自に由美の座へ送され、残りの半分は将来のの学学資として別座に積みてた。 酒も煙もやめた。 着るものは量販のいスーツ着を着回し、靴底が擦り減っても自分で補修材を塗って誤魔化した。
みじめだとはわなかった。 かつて由美が、スーパーの見切り品の納豆を買い、擦り切れたコートを着て耐え忍んでいた々に比べれば、これでも温すぎるほどだった。
の第曜。 そのは、美咲と拓の、学の初めての持久会のだった。
由美からの連絡は、いつも真理さんを通じた最限のメールだった。 『保護者の観覧は自由ですが、佐藤さんは庭の隅の、保護者席の最列には絶対にないでください。くから見るだけなら、拒絶はしません』
それだけで分だった。
私は週から仕事を調し、曜の午の予定を完全に空けていた。