"リフォーム代二百万を払った実家に、他人が住んでいた" 第6話
「お願いします」
母は即座に答えました。 切の迷いはありませんでした。
「おに執着はありません。 私がこれから、娘のくで静かに暮らしていけるだけの費用が元に残れば、それで分です。 あの子たちに奪われるくらいなら、本当にこのを必としている若いご族に譲りたい」
契約に向けた歯が、音をてて急速に回り始めました。
佐々さんの見ては正確でした。 わずか、隣の賃貸マンションにむ代のご夫婦が内覧に訪れました。 さなお子さんを抱えたそのご族は、当たりの良い庭と、学までのさを目で気に入り、そののうちに満額での購入申込を提してくれたのです。
現決済。ローン審査待ちの期なし。 契約から引き渡しまで、最でのスケジュールが組まれました。
その、私は母のしいまい探しに奔していました。
私の自宅からで駅、歩いて分ほどの所にある、階建てのシニア向け賃貸マンション。 エントランスにはオートロックと防犯カメラが完備され、は管理が常駐しています。
部は階の、向きの1LDK。 真しいフローリングに、すりのついた浴とトイレ。 ベランダからは遮るもののない青空が見え、歩いて分でスーパーとドラッグストア、内科と形科が入った医療モールがありました。
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内覧に連れてった、母は部の窓辺にち、眩しそうにを眺めていました。
「……かいわね」
ぽつりと漏らした母の言葉に、胸が詰まりました。
「あのは、になると廊が氷のようにたくてね。 お父さんがくなってからは、夜になるとのきしむ音が怖くて、朝まで灯りを消せなかったの。 ここなら……でも、怯えずに眠れそうね」
「うん。私のからもすぐくだから、毎でも顔を見に来られるよ」
母は私のを取り、何度も、何度も握りしめました。 そのの温もりをじながら、私はので兄夫婦へのりを燃やしていました。
こんなささやかな平穏すら奪い取り、自分たちの都でボロボロの奥の施設に母を追い払おうとしていたあのたちを、絶対に許してはならない。
方で、兄の健からは、まるでこちらのきなどらず、尊で独善な連絡がて続けに届いていました。
私のスマホには、毎のように兄からの傲なLINEが通されます。
『お袋に言っておけ。務の設計士に頼んで、図面の最終決定をした。 来週には解体の養シートを張るから、のタンスのは全部ゴミ袋に詰めておけ。 捨てるのが惜しいなら、おのにでも引き取れよ。男の俺が実を再してやるんだから謝しろ』
更には、義姉の真由美のSNSアカウントでも、おぞましい投稿が更されていました。
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共通の経由で目に入ってきたその画面には、級なイタリアンレストランのランチの写真とともに、こうかれていました。
『夫が実を相続することになりました✨ 来からは広々とした軒ライフのスタート! ずっと苦労をかけてきた実の母を呼び寄せて、同居することにしました親孝な夫に謝 お義母さんも、同居の方が寂しくなくてですよね〜! ただいまフルリフォームの打ちわせ。キッチンは絶対にアイランドにする予定!』
コメント欄には、義姉の友たちからの「優しい旦さん!」「親孝ですね!」という無責任な称賛がズラリと並んでいました。
そして、義姉の母親もすっかりその気になり、今んでいる賃貸アパートの解約予告をし、使っていた型具をに譲り始めているという話までの噂で流れてきました。
誰として。 「そのの本当の持ち主が誰なのか」 「持ち主が本当に承諾しているのか」 確かめようともしないのです。
男がそう言っているから。 夫がそう決めたから。 自分たちにとって都のいい嘘のに、砂のを積みげていることに、彼らは全く気づいていませんでした。
しかし、その砂のの台は、裏側で音をてて崩れ始めていました。
務の営業担当者から、健の携帯には連のように催促の話が入っていたはずです。