"リフォーム代二百万を払った実家に、他人が住んでいた" 第3話
居の座卓にノートパソコンを広げ、駅のシニア向け賃貸マンションの取り図を母と緒に確認していた、まさにそのです。
ガリガリッ、と荒々しく砂利を踏みしめる音が庭先から響きました。
インターホンすら鳴らされませんでした。 勢いよく玄関の引き戸がガラガラと乱暴にけ放たれ、聞き覚えのある太い声が廊にこだましました。
「おい、母さん! いるだろう! 務のを連れてきたぞ!」
血の気が引くのをじました。 顔を見わせる私と母を置きりにするように、ずかずかと同然の音が廊を軋ませてづいてきます。
現れたのは、っぽいポロシャツの胸元をはだけさせた兄の健でした。 そのろには、クリップボードと図面を抱えた、作業着姿の男性が、ひどく恐縮した様子でっていました。 胸元には『◯◯務 設計リフォーム部』のロゴが刺繍されています。
「お兄ちゃん……何しに来たのよ、アポもなしに」
私がちがって遮ると、健はあからさまに舌打ちをしました。
「あ? なんだ由紀、また実に入り浸ってんのか。暇な主婦はいいよな。 見て分からねえのかよ。リフォームの見積もりと採寸だよ。 来には着したいからな、今に柱の位置と配管のルートを全部測り直すんだよ」
健は母に目もくれず、連れてきた務の担当者にズケズケと指を指しながら指示をし始めました。
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「まず、この居と隣のの壁をぶち抜いてくれ。 畳は全部剥がしてフローリングにして、井もくする。 それから、あっちの奥のな」
健がのまま踏み込もうとしたのは、仏壇が置かれた、父が番切にしていた畳でした。 のには、父が集めていた絵画や陶器が飾られ、静謐な空気が保たれている所です。
「あそこののと押し入れを全部壊して、ウォークインクローゼットにしてくれ。 真由美のおふくろがベッドを置くからな。段差も全部スロープにしてバリアフリーだ。 あ、ついでにあの苦しい仏壇も処分する方向で頼むわ。所取るし、今のインテリアにわねえから」
「……健」
く、しかし凛とした声が、狭い部の空気を鋭く切り裂きました。
務の男性たちがピタリとを止めました。 健が苛ちを隠さずに振り返ります。
「あ? 何だよ母さん。今、事な打ちわせしてんだから黙っててくれよ」
母はゆっくりとちがりました。 背筋を真っ直ぐに伸ばし、兄の濁った瞳を正面から見据えていました。
「この部は壊させません。 仏壇も、のも、あなたたちに指本触れさせないわ」
「はあ!? 何言ってんだよ!」
健の顔が瞬にりで真っ赤に染まりました。
「せっかく俺たちがかけて、みやすいように最の設備にしてやるって言ってんだろうが! 寄りがいつまでも古いいに縋りついてんじゃねえよ! 体な、真由美のお母さんも楽しみに広さを見てるんだよ。
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今更『嫌だ』で済むわけねえだろ!」
「ここは私のです」
母は歩も引きませんでした。 その声には、りよりもい、徹な拒絶が込められていました。
「あなたたちのではありません。 私はあなたたちと同居するつもりもなければ、このをリフォームする許をした覚えもありません。 務の方々にもご迷惑ですから、今すぐお引き取りください」
空気が凍りつきました。 務のチーフらしき男性が、困惑したようにクリップボードを抱え直し、おずおずとをきました。
「あの……佐藤様? こちらのお母様が、名義の方とお伺いしておりましたが……リフォームのご承諾は、まだ……?」
健の額に、青筋がピクピクとねがりました。 誤魔化しがきかなくなった焦りと、で恥をかかされた猛烈なプライドの傷つきが、その表を醜く歪めていきます。
「関係ねえよ! 名義なんてただの類の話だろ! 実質な決定権は全部男の俺にあるんだよ! お袋はボケかかってて正常な判断ができないんだ、気にせず測ってください!」
「失礼なこと言わないで!」
私が割って入りました。
「お母さんは認症でも何でもないわ。もはっきりしてる。