"結婚記念日に渡された電車の片道切符" 第7話
「、読んだわよね?」
私はちがり、改札へと向かって歩きした。
「別居の無断ち入りは禁止って、弁護士を通じていたはずよ。類はすべて、リビングのテレビ台のの引きしにファイリングしてあるわ」
『そんなとこ見てる暇ないんだよ! おが今から来て探せ!』
「嫌です」
『は……?』
「あなたのの回りの世話をする義理は、もう私にはありません」
『お、調子に乗るなよ! 誰の稼ぎでそのマンションにめてるとってんだ! 俺が賃を払ってるんだぞ!』
「その賃分、私が費と費と美咲の教育費を全額て替えてきた記録、裁判所に提済みよ」
話の向こうで、直の呼吸がぴたりと止まった。
「これ以用がないなら切るわね。類は、ご自分で探してください」
通話を切り、着信拒否に設定した。
その週末の夕方、インターホンのモニターに直の姿が映った。
デパの級菓子の袋を提げ、どこかぎこちない笑みを浮かべて玄関のにっている。
鍵を回そうとしたのだろう、ガチャリとドアノブが鳴った。
だが、私がすでにシリンダーを交換していたため、鍵は回らない。
夫は困惑したようにドアを叩き、インターホンの通話ボタンを押そうとした。
その瞬。
リビングから、美咲のるい笑い声が響いた。
「お母さん! 今のハンバーグ、めっちゃに焼けた! チーズのせるね!」
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「ありがとう、美咲。スープもよそってくれる?」
ふたりで顔を見わせ、声で笑いう。
モニターの向こうで、夫のが止まった。
閉ざされた鉄の扉の向こうに、自分の居所など最初から1ミリも残されていないことを、夫はようやく悟ったようだった。
肩を落とし、提げていた袋を握りつぶすようにして、夫は夕のエレベーターへと消えていった。
その頃、川莉奈との関係も、急速に崩壊へ向かっていた。
それをらせてくれたのは、直の会社に同期がいる、私の古い友だった。
「由美、直さんのとこの川さん、営業部から総務へ異願いしたらしいわよ」
カフェのテーブル席で、友は声を潜めて教えてくれた。
「ふたり、社内でも完全にギクシャクしてるって。直さん、最スーツもしわくちゃだし、部ので川さんに『あのの、しは返せよ』って詰め寄ったらしいの」
「……あのの?」
「のホテル代よ。結局、直さんが自腹でから精算したらしいんだけど、今の遣いが底をついたみたいでね。川さんに半分せって迫ったんですって」
像通りの無様さだった。
庭の座から湯のようにを流していたは、「男気のある頼れる司」を気取っていたのだろう。
だが、妻の財布を取りげられ、ウィークリーマンションの賃と自分の活費を自分で払う羽目になった途端、化けの皮が剥がれたのだ。
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追い打ちをかけたのは、弁護士から莉奈の自宅へ送付された通の郵便だった。
『貞為に基づく慰謝料請求、および当利得返還請求予告通』
内容証郵便。
私がカード会社から取り寄せた過半の細、週末の温泉旅館や級レストランの利用記録、そして夫のタブレットに残されていたホテルの予約画面。
すべてが、言い逃れのできない証拠として添付されていた。
そのの夜、直からメッセージが届いた。
文章はく、乱暴に打ち込まれていた。
『莉奈に余計な類を送るな。あいつは何もらなかったんだ』
私は画面を見つめ、声をさずに笑った。
何もらなかった?
羽田空港で、私の目のでブランドバッグを揺らし、「事なお仕事の邪魔をしないでいただけますか?」と勝ち誇った顔で言い放った女が?
翌週、弁護士の事務所に、莉奈から代理弁護士を通じて回答が届いた。
そこには、直に対する烈な保と切り捨ての言葉が並んでいた。
『佐藤直氏からは「妻とは庭内別居であり、すでに婚のができている」と虚偽の説を受けていた』
『額な宿泊や贈答品はすべて同氏からのにい好であり、当方に共財産を横領する図は切なかった』
『精神苦痛を与えたことについてはく謝罪し、提示された解決について分割での支払いに応じる』