"意識のない母の家を売る夫、その時病室のベルが鳴った" 第6話
「……分けしたのね」
声が震えた。 りを超えて、胃の底からせりがってくる吐き気を必にみ込んだ。
「まだ母の識が戻るかどうかも分からないうちに。きているのを勝に売りばしたで……族揃って、分けを貪りったのね!?」
「ち、違う! 亮介のやつが、どうしてもが必だって泣きついてきたんだ!」
夫はね起きるように顔をげ、見苦しく喚きてた。
「あいつの古、客のオートローンを使い込んで焦げ付かせててな! 今に200万払わないと詐欺で告訴されるって言われてたんだ! 内の祥事を放っておけるかよ!?」
「だからって、なんで私の母ののおで補填するのよ!」
「お袋だってそうだ!」
夫は止まらない。 まるでに罪をなすりつけることだけが、き残る唯の段であるかのように、唾を撒き散らしながら捲してる。
「お袋も、親戚からの借とリボ払いが何百万も膨らんでて、毎督促の話に怯えてたんだ! 男として、親の危を見捨てるわけにいかないだろ!? を売れば数千万円入るんだから、付の端したくらい借りしたって、あとで帳尻をわせれば何の問題もないはずだったんだよ!」
「端した……?」
を疑った。
「百万が、端した……? あんた自の200万は何なのよ! ローン返済って何!?」
「それは……俺のリフォームの営業成績だよ!」
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夫はを抱え、獣のように呻いた。
「顧客から預かった資材費を……競馬と株の穴埋めに流用してて……今週の監査で見つかったら懲戒解雇されるところだったんだ! 俺だって必だったんだよ! おや奈緒にみじめないをさせないために、必で計を守ろうとしてたんだ!」
全部、棒の論理だった。 見栄と欲に溺れ、の丈にわない活を続け、首が回らなくなればの財産をい荒らす。 この男も、義母も、義弟も。 全員が最初から腐りきっていたのだ。
そして、その穴埋めのための「贄」に選ばれたのが、郊の広いにでむ、私の母だった。
「……今すぐ、全員に話しなさい」
私はたく言い放った。
「亮介とお義母さんに話して、今夜受け取ったを全部吐きさせなさい。野さんはの正午までに返さなければ警察に通報すると言ったわ。分も猶予はないのよ」
だが、夫から返ってきたのは、絶望な言だった。
「……無理だ」
「何が無理なのよ!」
「亮介はもう……その200万をにして、見栄張るために古のレクサスを契約しちまったんだよ。残りはサラに吸い込まれた。円も残ってない。お袋だって、親戚の座にからで振り込んじまっただ。返せるわけがないだろ!」
部の空気が、完全に凍りついた。
百万は、もうこの世のどこにもしない。
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品のように消えり、残されたのは、の警察への通報と、詐欺罪での逮捕という現実だけ。
沈黙の、壁の計の秒針の音だけが、カチ、カチと無慈に響いていた。
そのだった。
目ので、ドサリと鈍い音がした。
夫が、子から滑り落ちるようにに両膝をついていた。 スーツのズボンが擦れる音。 夫は私の元に額を擦り付け、両で私のスリッパを掴んできた。
座だった。
の結婚活で、どんなに自分が悪くても絶対に非を認めず、常に私のにとうとしていた男が、にいつくばって泣いていた。
「真紀……頼む! 頼むから俺を助けてくれ!」
「おしかいないんだ、真紀……!」
に額を押し付けたまま、夫はしゃくりげるような声を絞りした。 私の首に絡みつくその指先が、気が悪いほどたい。
「野さんには、俺からもう度をげて待ってもらう。でも、そのためには『本契約』をめるしかないんだ。お義母さんがを売るって同さえしてくれれば……付を返す必はなくなる。残りの売買代が入れば、全部、全部綺麗に解決するんだよ!」
私はを引き抜こうとしたが、夫は狂ったような力でしがみついてさない。
「おがお義母さんに頼んでくれ! 娘のおが泣いて頼めば、お義母さんだって首を縦に振るはずだ! 『浩司さんが変なことになってる、助けてあげて』って、そう言ってくれればいいんだ!」
「……よくそんな言葉が、そのからるわね」