"義母の葬儀で消えた妻と百八十万" 第13話
正の悪を暴き、正しいへと正すことができるのは、数字の真実をるあなただけなのです』
を読みめるにつれ、俺の血の温度が急速に沸点へと達していくのをじた。 正は、介護を実に、病の母親の財産を着していたのだ。 俺が顔をげると、由は両で顔を覆い、肩を震わせて泣いていた。 「由……君は、このことをっていたのか?」 「……お母さんから、相談されていたの。でも、私には何の専識もなくて、お兄ちゃんを問い詰める決定な証拠も見つけられなくて……どうしていいか分からなくて、ずっと怖かった……!」 「丈夫だ、由。もう泣かなくていい」 俺はを庫の脇に置き、箱のに収められた証拠品の数々をに取った。
『証拠はすべて、この箱のに揃えてあります。通帳のコピー、正との会話を録音したテープ、そして私が密かに集めた調査資料です。健太郎君の正義と専識で、どうか真実をらかにしてください』
箱のから引きした預通帳のコピーの束に目を通す。 そこには、公認会計士としての俺の目を釘付けにする、極めて作為で異常な数字の羅列が刻まれていた。 毎のに、きっかり『万円』ずつ、過ヶにわたって規則正しく引きされている。 総額にして、百万円。
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持ちにとっては端かもしれないが、暮らしの齢者にとっては、病気や介護のための命綱とも言えるだった。 さらに、庫の底からてきた古いカセットテープを、リビングのラジカセにセットして再ボタンを押した。 シャーというノイズの向こうから、聞き覚えのある正の声が、々しくスピーカーから流れしてきた。
『母さん、だから言ってるだろ? 通帳は男の俺が預かっておくのが番全なんだって。母さんも最、物忘れがひどくなってきたじゃないか。認症がんで変な詐欺にでも引っかかったらどうするんだよ』 『でもね、正……私のと活費ですから、自分で元に置いておきたいのよ。まだはしっかりしていますから』 『そんなこと言ってるから危ないんだよ! 息子の俺が親切で管理してやるって言ってるのに、親のくせに息子が信用できないのかよ! いいから印鑑を寄越しなさい!』
テープには、認症を実に母親を威圧し、引に銭の管理権を奪しようとする正の々しい脅迫の言葉が、克に記録されていた。 そして、最にてきた束の調査報告のような類――そこには、義母が体どうやって調べげたのか、正が複数の消費者融やから背負っている額の借の記録が綴られていた。
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「これ、は……」 「お兄ちゃん……ずっとギャンブルにのめり込んでいたのよ」 由が涙を拭いながら、震える声で告発した。 「直子さんには内緒で、パチンコと競馬で借をねて……総額で百万円以も膨らんでいたの。それを埋めるために、お母さんのにを付けていたのよ」 俺は激しい眩暈を覚えた。商社でエリート面をし、俺たちのを嘲笑っていたあの男の実態が、これだったのだ。の丈にわないギャンブルで作った借を、病気の実母の貯から盗みして補填していた卑劣漢。それが、佐藤正の真の姿だった。
庫の底には、もう通、別の封筒が残されていた。 表には、し震えた跡で『正へ』と記されていた。 「……これは、お兄ちゃんに直接渡すつもりだったね」 俺は由の許を得て、その封をいた。 『正。あなたが私の座からおを盗みしていること、私はずっと以から気づいていました。けれど、私は警察に届けるつもりはありません。どれほど愚かで卑しい真似をしようとも、あなたは私のお腹を痛めて産んだ、切な息子だからです。 けれど、もしあなたが母のも反省することなく、さらなる欲にるというのであれば、私はすべての処分を健太郎君に委ねます』
を読み終えた俺は、いため息とともにを仰いだ。
義母は、最期まで母親だったのだ。 愚息を犯罪者として科者にしたくないという母性の。だが同に、もし息子が改しなければ、厳罰をもって断罪するという徹な正義の秤。