"義母の葬儀で消えた妻と百八十万" 第10話
という恫めいた内容ばかりだったのだ。俺は直子の底れないペテン師ぶりに、もはやりを通り越して戦慄を覚えていた。
葬が始まると、焼きがりまでの約半、遺族は待で待することになる。 親族たちが静かに茶をすすり、故のいを語りっている、正が計を見ながら袈裟にため息をついた。 「半かあ、いな。おい直子、スマホで見たらこのくに洒落たカフェがあるらしいぞ。煙も吸えるみたいだし、ちょっとコーヒーでもみにこうぜ」 「ええ、いいわねえ! ここ、お茶の涸らししかなくて喉が渇いちゃったわ」 は親族たちのい目も気に留めず、さっさと席をって葬をてってしまった。 実の母親の肉体が炎に焼かれているそのに、喫茶で優雅にコーヒーをみにく。その神経が、俺にはどうしても理解できなかった。 「健太郎さん……私たちは、ここにいましょう」 由が掠れた声で俺の袖を引いた。 「ああ。ここにいて、お母さんの旅ちを祈ろう」 俺と由は、最まで待の片隅で、静かにをわせ続けた。
半、骨げのがづいた頃、正夫婦が戻ってきた。 からは芳ばしいコーヒーと煙の匂いがプンプンと漂い、直子は入りに化粧を直し、正は満そうに爪楊枝をくわえていた。
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まるで、休にドライブデートから帰ってきたかのような暢気さだった。 収骨が始まり、俺は震えるで箸を握り、義母の骨を骨壺へと収めた。命のみと儚さが骨を通じて指先に伝わり、涙がこぼれ落ちそうになる。これが、義母への最の肉体な奉仕なのだと、を込めて骨を拾いげた。
骨壺を抱えて斎へと戻り、親族同で精落としの膳を囲むこととなった。 本来であれば、これまでの労をねぎらい、故の冥福を祈りながら静かに盃を交わす席である。 しかし、ここでも正夫婦の独壇は続いた。 「実はね、来あたり、商社の方でまた昇の内示がる予定なんですよ。今度は事業部の統括部のポストに就くかもしれなくてね。母も国から、自の息子の世を見守ってくれているはずです」 酒を煽りながら得満面に語る正の姿に、俺は握りしめていた箸を膳のに音をてて置きそうになった。もう、限界だった。この男のを今すぐ塞いでやりたかった。 だが、その瞬、テーブルので由のたいが俺の拳をぎゅっと包み込んできた。由は青ざめた顔で、静かに首を横に振った。 「……今は、耐えて」 妻の痛な差しに、俺は奥歯を噛み締め、再び箸をに取るしかなかった。
精落としの宴がおきとなり、親戚たちが次々とタクシーに乗り込んで帰につき、会の片付けもあらかた終わったのことだ。
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気がなくなった静まり返った広で、正がニヤニヤと笑いながら俺の肩をポンポンと叩いた。 「さあて、健太郎君。昨言ってた『事な話』、そろそろをもらえるかな」 俺は由を見たが、彼女はうつむいたまま、固くを閉ざしていた。 直子がバッグから帳と級ボールペンを取りし、テーブルのに広げた。まるで、これから会社の取締役会でも始めるかのような際の良さだった。 「単刀直入に申しげますわね。お母様の遺品理とおまいのマンションの件なんですけれど、あそこの賃貸、賃がに万円もかかっているのでしょう? 延びるごとに割りで無駄なおがていくんですから、今週にすべて用品回収業者を配して、部を引き払ってしまった方が理ですわ」 俺は唖然とした。義母が息を引き取ってからわずか数のに、この夫婦はマンションの賃貸契約や賃の額まで事細かに調べげていたのだ。 「……しかし、まだの法も済んでおりません。形見分けの品も、親戚の皆さんと相談して決めるべきでしょう」 「はあ? そんな古い慣習にいつまでもこだわってどうするんだよ」 正が馬鹿にしたようにを鳴らした。 「代は変わったんだよ。実用に、損得で物事を考えなきゃ駄目だ。