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"義母の葬儀で消えた妻と百八十万" 第9話

あの子たちがいてくれるから、私、ちっとも寂しくないのよ』って……。本当に優しくて派な息子さんと娘さんを持てて、美代子さんは最に幸せなだったわね」 「田さん……ありがとうございます……」 由の声が涙で詰まった。 その、すぐくで別の参列客と談笑していた正の眉がピクリとねがり、顔がサッとそうに曇ったのを、俺は見逃さなかった。田さんの何気ない真実の言葉が、正が周囲に振りまいてきた「自分が毎病していた」という嘘を、公の面で見事に打ち砕いてしまったからだ。正は忌々しそうに田さんを睨みつけると、舌打ちをしながら背を向けた。

やがて棺の刻限が迫り、最のお別れとして棺にを納めるがやってきた。 とりどりの々に包まれた義母の穏やかなに顔を見つめた瞬、俺の胸は締め付けられた。らかに見えるその顔の、眉のあたりに、微かに刻まれたいシワ。、義母が何かな悩みを抱え、誰にも言えずに苦悩していたに見せていた、あの特の表だった。 棺の縁に縋り付いた由が、声を殺して泣いていた。だがその涙は、単なる肉親を失ったしみだけではないように見えた。何かに対する激しい謝罪のような、取り返しのつかない悔のような、複雑極まりないがその背に滲みていた。

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「さあさあ、皆さん! そろそろお棺の蓋を閉めますよ! 葬の予約が決まっているんですから、通りにスケジュールをめないと困ります!」 静寂を破ったのは、正の無質で事務な鳴り声だった。 母親との永の別れの瞬であるにもかかわらず、この男のからるのは、ただのタイムスケジュールの管理の話だけだった。しみのかけらもないその淡な声に、周囲の親戚たちもわず眉をひそめていた。

棺が霊柩へと収められ、親族同がマイクロバスに分乗して葬へと向かう途、隣の席に座ってきた正が、またしても俺の肘をつついてきた。 「おい、健太郎君。母さんの遺品理の件だけどさ、やっぱり初なんて待たずに、来週々にでも業者を入れて気に片付けちまおうとうんだ」 俺は唖然として正の横顔を凝した。 「……正さん。まだ美代子さんの葬すら始まっていないんですよ? そんなに遺品理の話をするなんて、あまりにも急すぎませんか」 「何を甘いこと言ってるんだよ。い方がいいに決まってるだろ。が経てば経つほど、賃貸の賃も発するし、々と面倒な続きが増えるんだからさ。『々面倒』になるに、男の俺がいて全部処分しちまうのが番スマートなんだよ」

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「々面倒……?」 俺の胸ので、違が急速に膨らんでいった。何が面倒だというのか。単なる財具の処分にしては、正の焦りようはあまりにも異常だった。この男には、に部のを詳しく調べられては困る、決定な理由があるのではないか。

葬に到着し、い鉄の扉の向こうへと義母の棺が吸い込まれていくも、直子のは止まらなかった。 「本当にお母様は幸せでしたわ。最の最まで私たちがそばに付き添っておりましたから、何の残りももなかったはずですわ」 親戚の叔母たちに向かってそう吹聴する直子の言葉に、ついにの配の叔母が怪訝そうにを挟んだ。 「でもねえ、直子さん。私、美代子さんの入院、何度かお見いにったけれど、正君たちの姿はお見かけしなかったわよ? いついらしてたの?」 直子の顔が瞬にして引きつり、張った。だが、すぐに引き攣った笑みを貼り直して取り繕う。 「あ、あら……それは、主の仕事が本当に忙で、夜や朝の面会に特別に許をいただいて伺っていたからですわ! それに、昼は由さんに話で細かく容態を聞いて、指示をしておりましたのよ!」 これまた、息を吐くようにびした真っ赤な嘘だった。正から由に話がかかってくることなど、に度あるかないかで、それも「遺産の話はどうなってる」

「親戚に余計なことを言うな」

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