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"断髪の夜に消えた七年目の花嫁" 第13話

「そ、それは……君のご両親が美結ちゃんをがっているから、君だけを特別扱いしたら角がつとって――」

「あなたは私の恋だったんでしょう!」

織の声が、初めて鋭く響いた。

「私の恋が私を特別扱いしないで、体誰が私を守るというの? ……もう遅れよ。あなたに止めてもらう必なんて、どこにもないの。私はもう、あなたたちの残酷なおままごとからりたのよ」

「織……! 頼むから……俺をしてたんじゃないのか!? も緒にいたんだぞ!」

織は静かに息をえ、穏やかな表で答えた。

「ええ。していたわ。、からあなたをしていた。……だからこそ、ここまで耐えられたのよ。でも、そのはもう滴も残っていないわ」

織は踵を返し、度も振り返ることなくオフィスビルへと消えていった。 広には、崩れ落ちた修平と、泣き崩れる両親だけが取り残されていた。

実に戻った両親を迎えたのは、荒れ果てたリビングで膝を抱える美結だった。

「……お姉ちゃんは? なんで緒に帰ってこなかったの? 迎えにったんでしょ!?」

佳代子は力なく首を振った。

「……もう戻らないわ。あの子は、すねてるんじゃないのよ。本気で、私たちを族だとっていないの」

「そんな……! 私、画も消したし、アカウントも消されたし、内定だって取り消されたのに! なんで許してくれないのよ!」

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美結が叫ぶと、佳代子は持参した袋から、付かずのまま持ち帰った菓子折りを取りした。

「……あの子、このお菓子には目もくれなかったわ。……当たりよね。あの子が好きなのは、これじゃなくて別の菓子だったもの。私、母親なのに……あの子の好物すら、らなかったのよ……」

佳代子は箱を抱きしめ、声をげて泣き崩れた。 美結の脳裏に、激しい悔が押し寄せていた。

数、美結はどうにか見つけたさな印刷会社の事務員として働き始めていた。 だが、慣れない業務の、切な取引先に届けるはずの契約の原本をコピーに詰まらせ、無残に破いてしまった。

「林さん! これ、どういうこと!?」

女性司の号がフロアに響き渡った。

「わざとじゃありません! 械が詰まっちゃって……!」

「詰まったらすぐに業者を呼ぶか報告しなさいよ! そのは飾りなの!? 使えないなら辞めちまいな! でお嬢様扱いされてたかしらないけど、社会じゃそんな甘えは通用しないのよ!」

周囲の同僚たちが、笑を浮かべながら美結を見ている。 美結はトイレに駆け込み、母に話をかけた。

「お母さん……仕事辞めたい……司にすごくられたの……!」

だが、受話器の向こうの母の声は疲れ果てていた。

「美結、にればられるのは当たりよ。しはしなさい。こっちも父さんの病院で忙しいの、切るわよ」

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通話が切れた。 昔なら。 学で失敗しても、友とトラブルになっても、全部お姉ちゃんが裏でを回して庇ってくれた。られるのはいつもお姉ちゃんで、自分はただ笑っていればよかった。

「誰も……守ってくれないんだ……」

個のたい便座ので、美結は震えながら涙を流した。 で笑い者にされ、理尽に鳴られることが、これほど恐ろしく、孤独なものだったのか。 お姉ちゃんは、この獄ので、何もで耐えていたのだ。

美結は震える指でスマートフォンをき、届くはずのない織の番号へ、いメッセージを送った。 『お姉ちゃん、ごめんなさい。私、本当に嫌な奴だった。笑われる辛さが、やっと分かったよ……本当に、ごめんなさい』 送信ボタンを押したが、既読のマークがつくことは度となかった。

季節は巡り、の寒さが本格になる頃。 関支社のオフィスで、織は夜まで残業を続けていた。 ふいに、デスクのに温かい湯気をてるカップが置かれた。

「林さん、し休憩にしよう」

見げると、藤堂蓮が優しい笑みを浮かべてっていた。には、くのからテイクアウトしてきた汁粥の包みがあった。

「胃に優しいおかゆを買ってきたよ。ネギは全部抜いてもらってあるから」

織は目を丸くした。

「……え? どうして私がネギが苦だってっているんですか?」

蓮は照れくさそうにを掻いた。

「このの歓迎会でも、そのの打ちげでも、鉢のネギをずっと綺麗に避けてただろう? 見ていれば分かるよ」

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